新城
(しんじょう)カズマ作品のページ


生年不詳。作家、架空言語設計家、古書蒐集家。1991年「蓬莱学園の初恋!」にて商業デビュー。「サマー/タイム/トラベラー」にて第37回星雲賞を受賞。

  


     

「tokyo404(トーキョウ・ヨンマルヨン) ★☆


tokyo404画像

2013年02月
文芸春秋刊

(1300円+税)

  

2013/04/10

  

amazon.co.jp

佃島に代々暮す女系家族に生まれた多和田笑子、大学生になったのを機会に引っ越しをしたいと主張し、シェアハウス“メゾン・ポテ”へ。ところがそのシェアハウス、住民が目まぐるしく入れ替わるだけでなく部屋の交換まで行われ、笑子には全くその実態がつかめない。
一方、小説家の
新城カズマは“家出少女連盟”なる組織について知ろうと紀子という女性にインタビューするのですが・・・。

収録されている8篇、一応連作短篇小説という形ではあるのですが、どの篇をとっても同じということはなく、ストーリィに斬新さを感じるばかり。
要は本作品、人間ドラマを描くのではなく、都市における空間の有り様を描くところに主眼があるのではないかと感じる次第。

現実の空間とは別に、人の思う処によって成り立つ空間もあるのではないか。笑子のように離れた場所に引っ越そうと、佃島の実家をそのまま自分の家と考えれば家だし、離れてもひとつ家族と思えば家族であることでしょう。
人の思いによって成り立つ空間、それはまた現実の空間とも輻輳する筈。現代社会で前者の代表的なものがインターネットであるのでしょう。
後半、カズマのインタビュー中で
バローズ「火星のプリンセス」が引用されます。この部分“火星”シリーズファンとしては嬉しい限り。

題名の「404」は、居場所を見つけられずという意味のエラーコード。
本書の頁をこれから繰ろうとする方は是非、一般的な人間ストーリィではなく、新しい空間マジックを見つけるつもりで読み始めてみてください。その方がきっと楽しめることと思います。

1.おひっこし/2.NORIKO−或るインタビュー−/3.夢のような仕事/4.たかいたかい、おとこのこ−或るインタビュー(その2)−/5.ザ・グリフターズ、全員集合/6.余は如何にして(心配するのを止めて)真の都市住人となりし乎−或るインタビュー(その3)−/最終話.おわりよければ all's well that homes well/ほんとうのエピローグ.さきほどの(a)と(b)のあいだに

 


  

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