関かおる作品のページ


1998年東京都生、慶應義塾大学環境情報学部卒。2024年「みずもかえでも」にて第15回小説野生時代新人賞を受賞し作家デビュー。


1.みずもかえでも 

2.小麦畑できみが歌えば 

 


                    

1.
「みずもかえでも Before Maple Leaves Flow Off ★★
                       小説野生時代新人賞


みずもかえでも

2024年09月
角川書店

(1750円+税)



2026/01/26



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かつて“演芸写真家”を目指していた宮本繭生真嶋光一に弟子入りする際「演者に許可なく写真を撮らない」ことを条件にされていたにもかかわらずその約束を破ってしまい、今はフォトスタジオの正社員としてウェディングフォトを撮る日々。

あれから4年、結婚式場へ新郎新婦との事前打ち合わせに出向いた繭生が向かい合うことになったのは、あの時夢中でシャッターを押し怒らせてしまった女性落語家<
楓家みず帆>こと菅井水帆だった。
その水帆から「あんたに写真を撮ってほしくない」と言われてしまった繭生は・・・。

落語家、カメラマンという違いはあっても同世代の女性、しかもその道で生きていくためには相当の覚悟が必要。だからこそ繭生に対する水帆の言葉は容赦ない。
内容としては、水帆、繭生がそれぞれ、目の前の試練を乗り越えていけるかという成長or再生ストーリーなのですが、読み処は水帆と繭生のバトルにある、と言って良いでしょう。
そして水帆と繭生という若い世代と対照的に描かれるのが、水帆の祖父であり師匠でもある
楓家帆宝と真嶋光一の関係。

前世代のやり方をただ踏襲すればいいというものではなく、世代が違えばその世代なりの関係を築いていく必要があるのだということを、二人の姿から感じさせられます。

演芸写真家と落語家という題材がとにかく面白い。
そして、ストーリーのテンポが良い。
最初から最後までたっぷり楽しめました。それにしても、繭生のアシスタントに付くアルバイトの
小峯、引き立て役とも言えますが、いくら何でも・・・と思うなぁ。

         

2.
「小麦畑できみが歌えば When She Sings in a Wheat Field ★☆


小麦畑できみが歌えば

2025年11月
角川書店

(1850円+税)


2026/01/27


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北海道で麦畑に囲まれて暮らす18歳の塚田唯吹(いぶき)は、高校を卒業したばかり。大学には進学せず、実家の麦畑農家を手伝うつもり。
でも、あの人を追いかけたいという気持ちから、地元オペラハウスが毎年行っているのオーディションに応募します。

未熟なまま応募した唯吹は不合格となりますが、オペラハウスの音楽監督を務める有名オペラ歌手の
梶憬子からその楽器(声)の良さを見出され、米国の<アンバーオペラハウス>が毎年開催しているサマープログラムへ参加するためのオーディションに招待されます。
そこから唯吹の道は、どんどん開いてく・・・。

麦畑で一人、健やかに歌っていた少女が、見出されて世界へ飛び立つための扉を開けていく、というストーリー。
そうした処は爽快で、魅力的なストーリーと感じたのですが、展開がまるでうさぎ跳びのように早く、納得感が追い付いていけず、という感じ。
主人公のキャラクターには好感を抱きますが、もう少し地に足が着いた展開を望みたかった、と思ってしまいました。
その点が、ちょっと残念。

      


   

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