1996年12月
河出書房新社
1998/05・10刷
(1165円+税)
1999年
河出文庫化
1999/01/24
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河出・文芸賞選考史上に残る4時間の大激論の末に優秀作となった作品とのこと。
まず、題名からして非常に挑発的。すぐ内容を連想します。
「援助交際」といった変なオブラートに包んだ言葉でないだけに、現代世相を鋭く突き、かえって快感を覚えてしまう響きがあります。
「わたしの体は誰のものでもない。だったら、誰に貸し与えたっていいわけだ」
そして注文にしたがってレンタルに赴く。
本書は、そんな言葉から始まる最高学府の女子大生・マヤ(20歳)の遍歴のストーリィ。
そう言われてしまうと反論に窮し、最初からマヤの世界に引きずり込まれてしまいます。
ボディ・レンタルという言葉には、心と身体は別という前提があります。身体をレンタルする、そして心はそんなシーンを別次元で眺めている。読みながら私が思い浮かべた作品は、三島由紀夫「青の時代」、そしてケッセル「昼顔」。
でも読み進むうち、心はどうなんだ?という疑問を感じます。
マヤに問いかけたいのは、ボディ以上にそのこと。だからといって、マヤの学友たち、桐子、雅、野獣くん等が正常とも言えません。
読んだ後とても答えが出せるような小説ではありません。すべてが非常に刺激的。その刺激がなかなか消えません。
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