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21.谷から来た女 |
【作家歴】、ラブレス、ワン・モア、起終点駅、ホテルローヤル、誰もいない夜に咲く、無垢の領域、蛇行する月、星々たち、ブルース、それを愛とは呼ばず |
霧ウラル、裸の華、氷の轍、砂上、ふたりぐらし、光まで五分、緋の河、俺と師匠とブルーボーイとストリッパー、孤蝶の城、ヒロイン |
「谷から来た女」 ★★ | |
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アイヌ文様デザイナー、アイヌである一人の女、赤城ミワの生きる姿を描き出す連作風ストーリー。 本作において、赤城ミワは実質的な主人公であっても、語り手とはなりません。 各章で語り手となるのは、その時々で赤城ミワと関わりをもった様々な人物。 彼らの視点から、赤城ミワという人物を描き出すと同時に、ミワと比較して自分は・・・という感慨を浮き彫りにしている、その辺りが本作の妙味であり、読み処と言えます。 普通なら年代順に描いていく処だと思いますが、本作においては時期を前後しています。 そのことがかえって、赤城ミワという女性の謎めいた魅力を解き明かしていくようで、魅力あり。 本作を通じて感じる赤城ミワは、強く怜悧で、そして覚悟のある、存在感ある女性。 穏やかであるようでいて、小気味よい切れ味あり、そんな気持ち良さのある作品です。 ・「谷から来た女」:大学教授の滝澤龍、一時ミワと恋人関係。 ・「ひとり、そしてひとり」:デザインが学校でミワと同期だった引地千紗。困難をミワに助けられる。 ・「誘う女」:記者の穣司、高校生のミワと出会う。 ・「無事に、行きなさい」:料理人の倫彦はミワと恋人関係にあったのだが。 ・「谷へゆく女」:中川時江、母親を亡くした後、文通相手の赤城礼良に会うため札幌へ。 ・「谷で生まれた女」:TVディレクターの久志木健太郎。ミワのドキュメンタリーを作ろうと谷へ。 谷から来た女(2021年)/ひとり、そしてひとり(2004年)/誘う花(1999年)/無事に、行きなさい(2015年)/谷へゆく女(1982年)/谷で生まれた女(2023年) |
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