桜木紫乃作品のページ No.3



21.谷から来た女  

【作家歴】、ラブレス、ワン・モア、起終点駅、ホテルローヤル、誰もいない夜に咲く、無垢の領域、蛇行する月、星々たち、ブルース、それを愛とは呼ばず

 → 桜木紫乃作品のページ No.1


霧ウラル、裸の華、氷の轍、砂上、ふたりぐらし、光まで五分、緋の河、俺と師匠とブルーボーイとストリッパー、孤蝶の城、ヒロイン 

 → 桜木紫乃作品のページ No.2

 


                    

21.
「谷から来た女 ★★


谷から来た女

2024年06月
文藝春秋

(1700円+税)



2024/07/05



amazon.co.jp

アイヌ文様デザイナー、アイヌである一人の女、赤城ミワの生きる姿を描き出す連作風ストーリー。

本作において、赤城ミワは実質的な主人公であっても、語り手とはなりません。
各章で語り手となるのは、その時々で赤城ミワと関わりをもった様々な人物。
彼らの視点から、赤城ミワという人物を描き出すと同時に、ミワと比較して自分は・・・という感慨を浮き彫りにしている、その辺りが本作の妙味であり、読み処と言えます。

普通なら年代順に描いていく処だと思いますが、本作においては時期を前後しています。
そのことがかえって、赤城ミワという女性の謎めいた魅力を解き明かしていくようで、魅力あり。
本作を通じて感じる赤城ミワは、強く怜悧で、そして覚悟のある、存在感ある女性。
穏やかであるようでいて、小気味よい切れ味あり、そんな気持ち良さのある作品です。

「谷から来た女」:大学教授の滝澤龍、一時ミワと恋人関係。
「ひとり、そしてひとり」:デザインが学校でミワと同期だった引地千紗。困難をミワに助けられる。
「誘う女」:記者の穣司、高校生のミワと出会う。
「無事に、行きなさい」:料理人の倫彦はミワと恋人関係にあったのだが。
「谷へゆく女」中川時江、母親を亡くした後、文通相手の赤城礼良に会うため札幌へ。
「谷で生まれた女」:TVディレクターの久志木健太郎。ミワのドキュメンタリーを作ろうと谷へ。

谷から来た女(2021年)/ひとり、そしてひとり(2004年)/誘う花(1999年)/無事に、行きなさい(2015年)/谷へゆく女(1982年)/谷で生まれた女(2023年)

                 

桜木紫乃作品のページ No.1 へ   桜木紫乃作品のページ No.2

 


   

to Top Page     to 国内作家 Index