斉藤 洋
(ひろし)作品のページ


1952年東京都生、中央大学大学院文学研究科修了。亜細亜大学教授。86年「ルドルフとイッパイアッテナ」にて講談社児童文学新人賞、88年「ルドルフともだちひとりだち」にて野間児童文芸新人賞、91年路傍の石幼少年文学賞、2013年「ルドルフとスノーホワイト」にて第51回野間児童文芸賞を受賞。

  


 

「ルドルフとスノーホワイト−ルドルフとイッパイアッテナ4− ★★☆ 
                           野間児童文芸賞


ルドルフとスノーホワイト画像

2012年11月
講談社刊

(1400円+税)

   

2013/11/17

   

amazon.co.jp

野間児童文芸賞を受賞した作品ということで図書館から借り出して読んだのですが、シリーズものとは借出すまで全く知りませんでした。
第一作と
「ルドルフとイッパイアッテナ」が講談社児童文芸新人賞、第2作が野間児童文芸新人賞等を受賞している訳ですから、とびきりの名作シリーズではありませんか。
第一作からきちんと読むのが望ましいのでしょうけれど、まぁとりあえず本書第4作から。

岐阜県から心ならずも東京は葛飾区にやって来てこの地に住むようになった黒猫ルドルフが主人公。
ルドルフと仲間の猫たちの猫社会に起きる出来事がストーリィの中心です。
まず第一の出来事は、仲間猫の
ブッチーがコテンパンにやられた様子でどこからから戻ってきます。他の地域に住む猫との縄張り争いに巻き込まれたのか。状況を探ると共に平和裏に解決するため、ルドルフが単身で先方に乗り込みます。
第二の出来事は、
ブッチーとミーシャの間に生まれた三匹の内の一匹=チェリーが行方不明に。かねてからルドルフに憧れていたチェリー、もしかするとルドルフの冒険を真似してワゴン車に乗り込んだのではないか。今度はルドルフと、知り合ったばかりの雌猫ボス=スノーホワイトがチェリーを探すまで何と横浜まで遠征します。

登場する猫たちの個性と、力をもって押し通そうとすればかえって対立を大きくしかねないと相談して自重するあたり、すこぶる面白い。紛争時における心構えとして人間の大人も学ぶべきところが多そうです。
また、ルドルフが年中“ことわざ”を口にするところ、子供たちにとっても大いに勉強になるのではないでしょうか。
冒険要素に加え、知恵を働かして困難事を解決するという選択が物語としてもたっぷり面白く、好ましく、優れた児童作品になっています。
いずれ第一作から読んでみようと思います。楽しみです。

       


  

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