斎樹(さいき)真琴作品のページ


1978年福岡県生、駿河台大学法学部法律学科卒。会社勤めの傍ら小説を執筆。2008年「地獄番鬼蜘蛛日誌」にて第3回小説現代長編新人賞を受賞し、作家デビュー。

 


                 

  

●「サキモノ!?」● ★★


サキモノ!?画像

2010年04月
講談社刊

(1700円+税)

  

2010/01/29

  

amazon.co.jp

“サキモノ”と言えば先物商品取引。
さて、そう聞いて皆さんはどう感じるでしょうか。きっと、良い感じは持たない筈。いかがわしい感じを覚える、というのが殆どの人の印象でしょう。
それは私も同じ。まずは近寄らないに如かず、です。

そんな先物業界の会社=
魁コモディティに新卒で入社したのが、本書の主人公、青木照子
面接、採用の仕方からヘンな感じは持ったものの、実際に入社した後の職場は、まさ修羅場。
一日中、立ったままのテレマーケティング、残業は当たり前、昼休み抜きも普通。セールス相手の迷惑などお構いなし。ただ「うん」と言わせて新規顧客を上げれば良し、上げなければろくでなし、給料泥棒、という風。
それでも、違法かと言えば、先物取引自体は合法ですし、結局セールスに応じるかどうか、損するか得するかは顧客側の問題といえば、理屈上はその通り。
そんな業界で照子、何故頑張るかといえば、それは仕事だから。そして、自分の壁を突き抜けられるかどうかは、どんな仕事でも共通することだから、と言えるでしょう。

誰が考えても、本書を読んでも、いかがわしさプンプンのサキモノ会社。そんな場所で照子がどう頑張るのかを描き、見事なお仕事小説に仕立て上げたところに喝采を送りたい。
無茶苦茶言う上司たちにもまれながら、どこか強かで、愛嬌もある照子のキャラクター、いかがわしさを超えて魅力です。 

      


   

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