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1.わたしはなんでも知っている 2.わたしはみんなに好かれてる 3.なりたい二人 4.ハリネズミ乙女、はじめての恋 5.かえたい二人 6.若おかみは小学生!−小説 劇場版− 7.手をつないだまま さくらんぼの館で 8.妖怪コンビニで、バイトはじめました。 9.人類滅亡フラグがたちました! |
「わたしはなんでも知っている」 ★★☆ |
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小4のクス子、自分はなんでも知っていると自信たっぷり。 ニュースや新聞をよく見聞きしますし、父親の医院の待合室で交わされるおしゃべりをよく聞いているから。 そんなクス子の前に不思議なおじいさんが現れます。 クス子はそのおじいさんから、「今まで知らなかったことが、どんどんわかる薬」を貰って飲んだところ・・・。 まだ小学生ですから知らないことがあって当然なのですが、それなのに自信家、それなのに肝心の自分のことに何も気づいていなかった、というところがユーモラス。 鼻持ちならない、高い鼻が折れていい気味、と思われても仕方ない処ですが、そこから頑張れてしまう、それも自分のためというより友達のために、という処がこのクス子の良さ。思わず応援したくなってしまいます。 終盤での同級生との対決場面はまさに圧巻。 カラッとして、楽しいところが本作品の魅力。 教訓になるようなストーリィを、楽しい活劇風の少女成長物語に仕立て上げていて実にお見事。 令丈さん、何と上手い! 1.いろいろ、知ってます。/2.けったいな、おじいさん!/3.気になることを、おしえてもろた。/4.はみぱんさんとハムさん/5.戦いをいどんでしもたわ。/6.知らんかったことにしよう。 |
「わたしはみんなに好かれてる」 ★★ |
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「わたしは何でも知っている」と対になる作品。 (※略して、「わた知」「みん好」とか) 本作での主人公は、「わた知」でクス子が対決したクラス女子のリーダー=福原紀沙。 クラスの人気者になるべく、日々努力しているという女の子。 「わた知」後、紀沙を悪い子と決めつけてしまう感想が多かったため、紀沙の側を書いてみようと思ったというのが、3年後となった本書続編なのだそうです。 ストーリィ的にも「わた知」と表裏の関係にあるといって間違いありません。 紀沙の前に姿を現したのは、ピンクのうさぎ。紀沙に「本物の人気者になりたくなあい?」と声を掛けてきます。 さて、「本物の人気者」とは一体どういう意味か。 「わた知」で圧巻だったクス子と紀沙の対決場面が、本作でも繰り返されます。 ただし、そこから後が本作での真骨頂。 そうかぁ。「本物の人気者」ってそういう意味だったのか。 最後は、頑張れ!紀沙ちゃん、と応援したくなります。 ※私が子供の頃、誰かそう教えてくれたらなぁ、と思う次第。 1.わたし、人気者だから。/これがわたしの進む道。/3.バラのかおりのアメちゃん。/4.あらしの前ぶれ。/5.おそろしい子、クス子。/6.六時間目は決戦!/7.クス子のはんぱない攻撃!/8.なみだがとまらないんやわ。/9.わたしの本当の気もち! |
「なりたい二人」 ★★☆ |
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令丈作品は本当に面白い、楽しいですね〜。 同じマンションの同じフロア、お互いにシングルマザーの母親同士が大の仲良しとあって、赤ん坊の頃からひとつ家族のように育ってきた元原ちえり(ちぇり)と森脇武儀(ムギ)の幼馴染2人も今や中一。 ただ、幼馴染で仲の良い男女というと同級生たちのからかいの的になりかねないのは自明のこと。ですから、今も同級生の2人が何かと距離を置くようにしているという気持ちは十分理解できます。 ところが、ペアを組んで将来なりたいと思う職業について調べるという課題が授業で出されますが、ペア組みからあぶれてしまった2人、否応なくペアを組むことになります。 気安い相手だけについ油断して盛り上がり、目撃した先輩や同級生から“長いつきあいのカップル”と見なされてしまい・・・。 ちえりの母親=サワコは管理栄養士で会社の食堂勤め。背の高いことを引け目に感じているちえり、実はその夢はモデル。 一方、武儀の母親=緑はエステティシャンでエステサロン勤め。でもぽっちゃり体形の武儀の夢は、江戸料理研究家。 2組の親子の職業と将来の夢がクロスしているところが愉快。 次第に以前の仲の良さを取り戻しつつ、相手の良い処を再認識していくというちぇりとムギの絡みがとても楽しい。 そしてそんな2人を見守る2人の母親たち、先輩・同級生たちとの絡みも実に楽しいのです。 少年少女の成長+ちょっぴり恋の始まりストーリィ。 登場人物が一人一人生き生きとしているのが、大いなる魅力。 1.かかわり合いたくない二人/2.なりたいものがない二人/3.いろいろあったらしい二人/4.仲良しではない二人/5.安定感はんぱない二人/6.課題を始めた二人/7.恋愛のアドバイスをする二人/8.食堂の二人/9.スイッチが入った二人/10.おしゃれになりたい?二人/11.なりたいことを認めた二人/12.なりたいものを発表する二人 |
「ハリネズミ乙女、はじめての恋」 ★★★ |
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2019年12月
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めっちゃ可愛くて、楽しくて、アットホームで、狂喜したいくらいに素敵で私好みのラブストーリィ。 主人公は、嶋本好花(コノカ)、19歳。 祖母は今も現役芸人、母親は元アイドル芸人、兄は今売り出し中のイケメン漫才という芸能人一家育ちのトラウマか、笑いを取れて当たり前という周囲の決めつけが重荷で一人東京へ。しかし、トロくて不器用なためバイトし始めた居酒屋は2週間でクビ。 ふと立ち寄ったペットショップでコノカが運命的な出会いをしたのが、ハリネズミの“白ハリくん”。 何と、白ハリくんがコノカに関西弁で話しかけてきたのです。 それから全てが好転し、それどころかコノカと白ハリくんは思わぬことに芸能界デビュー? 関西弁で話す白ハリくんの何と可愛いらしいことか。その白ハリくんとおしゃべりするコノカの何と楽しそうなことか。 そして前半の舞台となるペットショップの何とアットホームで居心地の良いことか。 コノカと白ハリくんのラブストーリィ、素敵!という一言に尽きます。 楽しくて温かいストーリィのお好きな方に、是非お薦め! プロローグ/1.幸せな気分で/2.出会い/3.心の採用/4.給料日/5.お誘い/6.商品だから/7.声が重なる/8.お兄ちゃんの心配/9.ハリ乙女/10.ちゃんとかわいい動画を/11.収録日と放送日/12.予想外だったこと/13.あいさつ問題/14.実家/15.絶好調の日/16.星村くん/17.お別れ/18.春 |
「かえたい二人」 ★★ |
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「なりたい二人」の姉妹編。舞台は同じ室町中学校。 これまで“ヘンジンコ(変人子)”と仇名されイジメられてきた過去をもつ月方穂木、転校を機に“普通の子”になるべく決意して新クラスに望みます。SFオタク作家にもかかわらず唯一の童話作品がヒットした父親のおかげか、クラスに君臨するクイーン赤坂萌奈のグループにすんなり迎え入れられます。 しかし、父親が作ったモンスター風弁当を萌奈たちの前にさらけ出す訳にはいかないと裏庭に向かったところ、出会ったのは悪魔少女メイクをした同級生。 それが何と、小学校で同級生だったお嬢様=斎藤陽菜の現在の姿だったとは!と驚く。 お互い親の作る弁当に頭を悩ませていた2人、弁当を交換するということでニーズが一致。萌奈らに見つからないよう、内緒で交換を続けるのですが・・・。 隠れ親友の穂木と陽菜の友情ぶりが、ワクワクと楽しい。 悪魔少女メイクながら、陽菜って本当に良い子なんだなぁー。 動揺するとついお嬢様口調に戻ってしまうところが何とも魅力。 そして、過去を繰り返すまいとびくびくしていた穂木が、陽菜と危機に直面するや・・・・・という場面はスカッとします。 「なりたい二人」と合わせて、是非お薦め。 今や人気少女モデルのちぇりちゃんも、ゲスト出演してます! 1.ふつうデビューの日/2.かわいいグループとクラスの女王様/3.「わたしはわたし活動」って?/4.プチお弁当事件/5.キャラ変の成功と安定/6.おしゃれがわかりません/7.「お菓子の家」と素顔/8.ハッピーな女子会/9.陽菜の理由/10.生活のための仕事/11.悪魔登場/12.シロイホノオ/13.それから |
「小説 若おかみは小学生!−劇場版−」 ★★ (原作・文:令丈ヒロ子、脚本:吉田玲子) |
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講談社青い鳥文庫の人気シリーズ、20巻で完結した「若おかみは小学生!」の劇場アニメ化、そのノベライズ版。 令丈ヒロ子さん、私の注目作家なので「若おかみは小学生!」も読んでみたいなぁとは思いつつ実行できていなかったのですが、そこで巡り合ったのが本書。 これなら1冊で堪能できるぞと、喜んで読むに至った次第。 主人公は小学6年生の<おっこ>こと関織子。 突然の交通事故で両親を亡くし、花の湯温泉街で旅館<春の屋>を営む祖母=峰子の元に引き取られます。 その春の屋は、部屋数5室のみの小さな旅館。祖母や従業員のエツコさん、康さんの忙しそうな様子を見て、またユーレイのウリ坊から後押しされるようにして、若おかみになる、と宣言することに。 両親と一緒に遭った交通事故で一旦死にかけた所為か、おっこはユーレイのウリ坊(立売誠)やみよちゃん(秋野美陽)、さらに子鬼の鈴鬼(すずき)まで、目にすることができるらしい。 3に助けられたり、3人をこき使ったりしながら、時に失敗、時に暴走しながら、おっこの若おかみ修業が続けられます。 宿泊客となった美人占い師のグローリー水領と仲良くなったり、同級生で大旅館=秋好旅館の跡取り娘である「ピンふり」こと秋野真月と、ライバルとしてぶつかり合ったり等々と、スピーディな展開が楽しい。 そりゃそうですよね、原作を凝縮した処もありますから。 登場人物の多彩さが魅力。一冊でもとにかく楽しいです。 満足して読了。 1.あたしが若おかみ!?/2.ピンふり登場!/3.わがままなお客様/4.いたずらユーレイの正体/5.また増えた? 人外メンバー!/6.お客様は占い師/7.大人のワンピース/8.真月さんと大バトル!/9.お客様の笑顔のために!/10.信じられないできごと/11.雪が降ってきた/12.春が来た |
「手をつないだまま さくらんぼの館で Goodbye in the Cherry House」 ★★ | |
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温かく、切なく、そして限りなく愛おしい、喪失と再生の物語。 気楽に書いたライトノベルがヒットして大学生作家となったモドリ野颯太(さった)が主人公。 大学の1年休学を決めたところ、ちょうど良いとばかりに母親から、遠縁である家原のおばあちゃんが入院中、その家に住んで留守番を務めるよう命じられます。予想外だったのは、その家にまだ10歳の孫娘=家原りりながやってきて、その世話まで押し付けられたこと。 生意気な口を利くりりなでしたが、一緒に暮らす内、颯太にとってりりなが大事な、愛しい存在になっていく。 しかし、ある日突然、りりなとの別れがやってきます。それは颯太にとって思いもよらぬ出来事の結果で・・・・。 りりなと別れた後にどんな状況が待ち受けているのか・・・それは本書を読んで貰う他ありません。 その、どんなに切なく、苦しく、また深い喪失感に向かい合わなければならないことか・・・。 冒頭で記載されていた「あのときなぜ、手をはなさなかったのだろう」「手をはなしてさえいれば」という言葉、そして題名、その意味がようやく判った時、その言葉の持つ響きに胸を打たれます。 それでも、喪失感に苦しむ颯太の心を救ってくれたのは、大事な彼女の面影だった・・・。 本作は、とてもピュアな愛の物語でもあります。読了後は、心を洗われたような気分です。 プロローグ/1.大好きなこの家/2.現れた魔女っ子/3.二人は同級生/4.それは桜桃の木/5.子どもを持つってことは/6.本当のお花見/7.二人最後の一日/8.夏の夜/9.現実のかけら/10.記憶の渦/11.忘れてちゃいけないこと/12.見つけたその本/13.さくらんぼの木 |
「妖怪コンビニで、バイトはじめました。」 ★★ | |
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占い師だった祖母の血筋からか、13歳の小野泉は幼い頃から人外(妖怪や幽霊)が見える少年。 父親が再婚した相手女性の明るさに疲れてしまい、ちょっと家から抜け出したところ辿り着いたのは、何と人外さんが経営する、人外さんのための店「ツキヨコンビニ」。 たまに死相をまとった人間が店に迷い込んでくることがあって対応に困っているという妖怪のシバ店長、幽霊店員のサバク先輩からその資質を見込まれたイズミ、店でバイトしないか、と誘われます。 バイト店員となったイズミがさっそく向かい合うこととなったのは、暗い雰囲気の少女=コアさん、交通事故死したのに幽霊になったと気づかずにいる少年=タカジュンくん。 同世代の3人が、それぞれ抱えている問題を打ち明け合い、お互いに励まし合いながら一緒に解決していくという、少年少女の問題解決ストーリィ。 また、<ボーイ・ミーツ・ガール>という要素もあります。 舞台設定が楽しく、さらに人も妖怪も幽霊もそれぞれにキャラクターがユニークで楽しい。そのうえ少年少女が互いに助け合うという展開ですから、存分に楽しい、と言って過言ではありません。まさに私好み。 ※舞台設定に似た処がありますので、つい村山早紀「コンビニたそがれ堂」を思い出します。 しかし、片や神さまが街の人々を助けるストーリィであるのに対し、本作は互いに助け合うというストーリィですから、趣向は全く異なります。 1.父さんのカノジョ/2.春の嵐/3.おかしなコンビニ/4.いらっしゃいませ、人外さん/5.トンでもないアイスクリーム/6.ボルケートのK-POP/7.ヘンなお客様たち/8.スター爆誕!/9.あの世でライブ/10.心残り解消ツアー/11.コアさんの呪い/12.お棺の中のタカジュンくん/13.見えなくなった店/14.おかえりなさい |
「人類滅亡フラグがたちました!−ぼくらが決める七つの未来−」 ★ | |
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主人公の風里(ふうり)が目覚めると、そこは閉ざされた部屋。そして同じ中一生が自分の他に6人。 同じ地域に住む男女7人ですが、住む地区も通う学校のレベルも様々。 その7人の前に現れた宇宙人「カンノン」、7人に理想の未来をシュミレーションせよと命じます。その未来が適切なものなら人類は破滅を免れるが、不適切なものなら人類は即滅亡と。 そこから一人一人、自分が思う未来を「カンノン」に示すのですが、その結果は・・・。 う〜ん、期待したのですが、今ひとつ。 来たるべき未来、そこにおいて人類がもはや滅亡するしかない状況に至ったのであれば、滅亡しても仕方ないのでは、と私は思います。 その滅亡、現在の我々にその責任の一端があるのではないかと問われれば、否定できないように思います。 環境破壊、自然破壊、国家間の勢力争い・・・・。 なお、本作はやはり子供向け。未来に対する今の社会の責任を考えましょう、という目的なら理解できます。 1.なんで? どうして? ここどこ?/2.カンノンさま登場?!/3.アミ・永遠にラブラブの世界/4.なんで滅亡決定?/5.タイガ・ゲームを戦争の代わりにする世界/6.それで正しいの?/7.セト・平等な階級制の世界/8.信じられないんだけど!/9.リツ・みんなちがってみんなハッピーな世界/10.そんな世界、見てみたい!/11.マユカ・安心してだれかを好きになれる世界/12.今度こそ正解?!/13.レナ・ほぼパーフェクト・ワールド/14.あなたの理想の世界は |