尾崎世界観
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1984年東京都生、本名:尾崎祐介。2001年結成のロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル・ギター。2012年アルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』にてメジャーデビュー、16年半自伝的な小説「祐介」にて作家デビュー。

  


       

「母 影(おもかげ) ★★☆


母影

2021年01月
新潮社

(1300円+税)


2021/02/25


amazon.co.jp

いいなぁ、この作品。
わずか 120頁程の短い作品ですけれど、主人公である少女の感性が瑞々しく描かれています。

主人公である少女は母子家庭、貧しい暮らしらしい。
その所為か、小学校のクラスで誰からも仲間に入れてもらえないらしく、退校後は母親が働くマッサージ店で、カーテンで仕切られた空きベッドで息を潜めるように時間を過ごしている。

カーテン越しに見える母親の影は、何処かヘン。男性客のヘンな声も聞こえるし、ヘンな気配も感じます。だから少女は、母親がヘンにならないよう心配します。

少女の、母親を大事に思う気持ちが文章の間から溢れ出て来るように感じられます。
母子だけの貧しい暮らしですが、主人公は卑下していません。まっすぐ前を、母親を見つめている、という印象です。

母親にも何か問題があるようなのですが、母子が寄り添って暮らしている姿を誰にも壊して欲しくない、そう思います。

この少女がこのまま、この感性を失うことなく、健やかに成長していけますように。

   


  

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