大山淳子
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1961年東京都生、早稲田大学教育学部国語国文学科卒。シナリオライター。2006年「三日月夜話」にて城戸賞入選、08年「通夜女」にて函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ、11年「猫弁・死体の身代金」にてTBS・講談社第3回ドラマ原作大賞を受賞し、作家デビュー。受賞作は「猫弁−天才百瀬とやっかいな依頼人たち」と改題して刊行されると共にTVドラマ化。

 
1.
猫弁

2.猫弁と透明人間

3.通夜女

 


                       

1.

●「猫 弁−天才百瀬とやっかいな依頼人たち【完全版】−」● 

  
猫弁画像
  
2012年02月
新潮社刊

(1600円+税)

※2012年03月
講談社文庫化


2012/09/12


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当初「猫弁」は見送っていたのですが、猫弁と透明人間を読んだら割りと面白かったので、改めて読んだという次第なのですが、率直に言って余り面白いとは思いませんでした。

要は本作品、主人公である弁護士=“猫弁”こと百瀬太郎をはじめとする登場人物のキャラクターに面白さがあるのですが、既に「透明人間」を読んでしまっているのでキャラ割れ、それもあってストーリィ展開のテンポが遅い、あちこちに飛んでまどろっこしいと感じた故です。

猫弁であるが故に、大手有名弁護士事務所をドロップアウトしたが故に、百瀬の元には珍妙な依頼ばかりが持ち込まれます。
本書でのメインは、出棺時に遺体の乗った霊柩車を盗まれた、死体の身代金(?)を要求されたという事件。
それと同時に百瀬のプライベート部分、結婚紹介所で斡旋された見合いに30回連続失敗中という事情が描かれます。
(こう書いてもインパクトないなぁと感じてしまいます)

どうせ読むなら本書第一作から、とご忠告しておきます。

前頭葉のすきま/シンデレラの黒い靴/迷子の霊柩車/大福亜子の憂鬱/死体の身代金/黄色いドア

      

2.

「猫弁と透明人間」● ★☆


猫弁と透明人間画像

2012年06月
講談社刊
(1400円+税)

2013年02月
講談社文庫化



2012/07/11



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猫弁シリーズ第2弾。
第1作も話題作だったと思うのですが、見送った理由の一つとして、私は猫が好きではない、ということがありました。
それでも即シリーズになったくらいだ
からと、第2作で初めて“猫弁”にお目にかかったという次第。

主人公は“猫弁”と異名をとる弁護士=百瀬太郎、39歳。
施設育ち、大検に合格して東大法学部へ進学。教授、司法修習の仲間もそろって天才的頭脳の持ち主と称えながら、どこか非世俗的。正義の実現が信条ながら儲からない弁護士稼業の上に、ペット訴訟等々で多数の猫を引き取る羽目になっているという状況です。
本書の面白さは、主人公=百瀬のキャラクターに尽きるといって過言ではないのですが、その周辺も大なり小なりユニークな登場人物ばかり。
前作を読んでいないので経緯は判りませんが、本書で百瀬に並ぶユニークな人物といえば、百瀬の押し掛け婚約者の
大福亜子に、ひきこもり歴20年になるがこちらも優秀な頭脳の持ち主=沢村透明
その沢村、実はTVで人気の弁護士=法律王子こと
二見純のゴーストで、本書題名の“透明人間”とはこの沢村のこと。

本書の印象は、相当にマンガチックなストーリィだなぁ、ということ。小説より明らかにTVドラマ向けだなと思ったところで、前作はそもそもTBS・講談社のドラマ大賞受賞作だったことに気づきました。TVドラマ向けであるのもそりゃあ当たり前というところ。
百瀬はどこまで変人弁護士を突っ走るのか、亜子と2人果たして幸せになれるのか、という興味を結局持たされるに至ったのですから、シリーズものとしては十分期待大、と言って良かろうかと思います。

              

3.
「通夜女(つやめ) ★★


通夜女

2019年10月
徳間書店

(1600円+税)



2019/12/22



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挫折、その結果ヒキコモリ、そして再生というストーリィ、今や数多くありますが、立ち直りのきっかけが<通夜>というのはかなりシュール。

主人公は
仁科小夜子・24歳。ずっと順調に過ごしてきたのに就職面接で「話にならない」「何がやりたい、何ができますって、言えないの」と言われたのがショック。就職活動を続ける気力も折られ、そのまま卒業、家にヒキコモリという状況。

弟の結婚式の帰り、ふと誘われるように通りがかりの家の通夜に招き入れられ、その雰囲気に得も言われぬ安堵感を覚えます。
それ以来、あちこちと他所の通夜に行くことが趣味に。
そこでいつも出会う相手は、ケーキ屋の営業マン、そして小柄な老女の
“通夜女(つやめ)”
都市伝説であるらしい通夜女、通夜に群がる様々な人物たちと関わるうち、僅かながらも次第に小夜子の心に変化が生まれていきます・・・。

通夜自体にそうドラマがある訳ではありません。
むしろ、小夜子にとっては、通夜女、ケーキ屋の営業マン、通夜専門のコンパニオン派遣会社を起業した女性=
西めぐみ、幼馴染の赤井理香子と、皆それぞれ思い通りにいかない中で奮闘していることを知っただけでも、意味があったのではないでしょうか。

一度足を止めることがあっても、再び歩き出すことができれば良いですよね。


香とイクラ/ならず者/矢印に導かれて/五千円/ほくろの婆さん/骨壺プリン/通夜レディ/なま土下座/ポケットティッシュ/太陽/ごめんで済むなら/卒業/六年後/犬

          


   

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