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| 61.タクジョ!−あしたのみち− 62.言問ラプソディ |
【作家歴】、みつばの郵便やさん、転がる空に雨は降らない、牛丼愛、それは甘くないかなあ森くん、片見里なまぐさグッジョブ、みつばの郵便やさん−先生が待つ手紙−、ホケツ! その愛の程度、ひりつく夜の音、みつばの郵便やさん−二代目も配達中− |
近いはずの人、家族のシナリオ、太郎とさくら、本日も教官なり、みつばの郵便屋さん−幸せの公園−、それ自体が奇跡、ひと、夜の側に立つ、みつばの郵便屋さん−奇蹟がめぐる町−、ライフ |
ナオタの星、縁、まち、今日も町の隅で、食っちゃ寝て書いて、タクジョ!、みつばの郵便屋さん−階下の君は−、今夜、天使と悪魔のシネマ、片見里荒川コネクション |
とにもかくにもごはん、ミニシアターの六人、いえ、奇跡集、みつばの郵便屋さん−あなたを祝う人−、レジデンス、タクジョ!−みんなのみち−、みつばの郵便屋さん−そして明日も地球はまわる−、銀座に住むのはまだ早い、君に光射す |
みつばの泉ちゃん、夫妻集、うたう、町なか番外地、モノ、日比野豆腐店、タッグ、ディア・オールド・ニュータウン、ぼくは刑事です、あなたが僕の父 |
| 61. | |
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「タクジョ!−あしたのみち−」 ★★ |
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大学新卒でタクシードライバーになった高間夏子と、同僚ドライバーたちを描く群像劇、シリーズ第3弾。 今回は、各篇の主人公をタクシードライバーだけでなく、乗客も主人公としている篇の混合。 そして内容は、ドライバーと乗客との生まれた会話、という処が楽しい。 短い乗車だったら会話の生まれようもありませんが、それなりの乗車距離ということで会話が生じ、しかもそのことによってお互いにプラスとなる、という処が嬉しい。 まぁ、実際には運転手さん次第なのでしょうけれど、聞いていて気持ち良い会話が成立しているのは、小野寺さんの小説世界だからでしょう。 稀なことだからこそ楽しい。小野寺作品の魅力です。 ※なお、夏子は途中で誕生日を迎えて29歳に。周辺人物にも少しずつ変化があります。 七月七日:運転手は高間夏子、客は浅田春音、社員一年目。 (新宿御苑前 → 新三河島) 八月八日:姫野民哉、客は三国清香(37歳)。 (新小岩 → 新千葉) 九月九日:安岡千冬、客は今田克樹、会社で課長職。 (新馬場 → 新日本橋) 十月十日:刀根和正、客は篠田萌衣(27歳)。 (新代田 → 新横浜) 十一月十一日:道上剛造、客は木口真那斗(25歳)。 (新板橋 → 新宿) 十二月:高間夏子 客は稲田秋久 (29歳)、 新富町 → 新木場 客は堀田慎之介(29歳)、 新桜台 → 新柴又 ※なお、夏子が紀伊国屋イトーヨーカドー木場店で購入した小説の作者は、小倉琴恵。「夫妻集」に、また「モノ」でも名前が登場しています。 七月七日の新宿御苑前−高間夏子(東央タクシー)/八月八日の新小岩−三国清香/九月九日の新馬場−安岡千冬(東央タクシー)/十月十日の新代田−刀根和正(東央タクシー)/十一月十一日の新板橋−木口真那斗/十二月の新富町と新桜台−高間夏子(東央タクシー) |
| 62. | |
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「言問ラプソディ」 ★★ |
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主人公の西沢智太は28歳。大学を卒業して入社した中堅広告代理店を5年で退職、日本最古の遊園地<浅草花やしき>でアルバイトを始めたところ。 実家は千葉県佐倉ですが、幼い頃から亡祖父に連れられて浅草にはよく来ており、今も徒歩で通えるアパートで一人住まい。 言葉を扱う仕事をしたいとコピーライター志望だったのですが、与えられる仕事は営業ばかり。そのため退社という経緯。 花やしきでのバイトは、これからどう進もうか考える途中の、とりあえずの働き場所という感じです。 バイトの同僚、パン作りが得意な金井理亜(26歳)、劇団員である宍戸鈴衣(24歳)、小説家志望の玉木正也(35歳)も智太と同じような状況にあると言って良いでしょう。 ストーリーとしては確かに、主人公たちが新たな夢を追うまで、束の間の青春小説という内容なのですが、本作の楽しみは、主人公と一緒に浅草の街にいる、という気分を満喫できる処にあります。 浅草のアパートで暮し、花やしきまで歩いて通い、そこで働く。時に浅草の街を散策したり、橋の上から浅草の景色を眺める、といった具合に。 そんな浅草の街に馴染んでいるというか、溶け込んでいるという雰囲気が何とも楽しい、素敵なのです。 この辺りはまさに、小野寺史宜作品ならではの魅力です。 なお、その最後の最後で、思いがけない浅草との繋がりが出て来るとはなー、驚かされました。 最後では、智太や理亜たち、それぞれのこれから進むべき道が見えて来たようです。春らしい、心地良さに満ちた読後感。 |
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