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31.読書感想文が終わらない! 32.天才望遠鏡 |
【作家歴】、屋上のウインドノーツ、ヒトリコ、タスキメシ、さよならクリームソーダ、君はレフティ、潮風エスケープ、ウズタマ、完パケ!、風に恋う、イシイカナコが笑うなら |
競歩王、タスキメシ-箱根-、できない男、沖晴くんの涙を殺して、転職の魔王様、風は山から吹いている、世界の美しさを思い知れ、弊社は浴び集されました!、モノクロの夏に帰る、ラベンダーとソプラノ |
タスキメシ-五輪-、転職の魔王様 2.0、タスキ彼方、鳥人王、夜と跳ぶ、サリエリはクラスメイトを二度殺す、夜と跳ぶ Re:東京ゴールデン・エイジ、転職の魔王様 3.0、願わくば海の底で |
「読書感想文が終わらない!」 ★★ | |
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小学生向き、実践的な読書感想文書き方指南、と言うべき連作ストーリー。 夏休みの宿題のひとつといえば、読書感想文。 私自身、読書感想文を書くのに苦労した覚えはありませんが、本作で指導される書き方のポイント、それが分かっていたらもっと上手に感想文が書けた気がするなぁ。 第一話から第五話まで、5人の小学五、六年生たちが登場します。いずれも読書感想文が苦手とか、無駄としか思えない、抵抗がある、といった問題を抱えた子どもたち。 感想文を書く本を借りようと彼らがやってきた学校の図書室、そこにいたのが卒業生で今は中三、「フミちゃんとお呼び」と言い放つ女の子。 そのフミちゃん、彼らが抱えている問題点を把握し、読書感想文を書くうえで的確なアドバイスをしてくれます。 そのアドバイスがお見事、惚れ惚れします。 読書感想文に頭を抱えるのは、小学生たちだけでなく、助けを求められた親たちも同様の筈。そんな時本書、とても役に立つはずです。 5篇の中では、第四話が異色。中学受験を目指している小学生にとっては確かに無駄に思えるものかもしれません。さらに、読書感想文にも正解がある、という受験生の言葉が面白い。 ところでフミちゃん、何故、毎日のように卒業した小学校の図書室に通い、感想文を校長の犬塚先生に提出しているのか。その事情は「最終話」で分かります。 ※なお、読書は本来、読み終わって、あぁ面白かった、終わり、というのが一番楽しいですよね。 第一話.読書、べつに好きじゃないんでしょ? 第二話.きみの中でもう感想文はできてるじゃないか 第三話.感想文を買う? おもしろいこと言うね 第四話.たしかに、感想文は非効率的なことかもしれない 第五話.感想文は、自分の心を見つめる時間なんだ 最終話.だから、わたしは借りるんだ、本の力を ★フミちゃんの特別教室、開校! |
「天才望遠鏡」 ★☆ | |
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才能ある者(天才)と、彼らを傍らで見ていた者(観測者)という組み合わせで描く5篇のストーリー。 天才である者はもちろん素晴らしいのですが、そう成れなかった者にもそれ以上のドラマがあり、幾多の思いを抱えてきた筈。 本作には、そう成れなかった者への労り、そして称賛の気持ちを強く感じます。 多くの人から認められなかったかもしれませんが、誰かはちゃんと認めてくれていた、それは幸せなことだろうと思います。 なお本作、これまでの額賀作品と比べると、おとなしめ、やや平凡な印象を拭えず。 ただし、冒頭篇で主人公だったスポーツカメラマンの多々良智司が好印象。その後の篇でも度々顔を見せている処が嬉しい。 ・「星の盤側」:雑誌編集長から依頼された多々良、天才中学棋士の明智昴とかつて天才中学生棋士と言われた座間隆嗣の対戦、その撮影に臨む。 ・「妖精の引き際」:フィギュア前金メダリストの萩尾レイナが“フォトエッセイ”の写真撮影のためパリに。レイナとは幼馴染みでパリ留学中の野守律が、彼女を迎えます。 ・「エスペランサの子供たち」:事情ある子供たちを教える無料塾、ボランティア講師の旭川七音は、教え子の天羽勇仁が類稀な歌の才能を備えていることを知り・・・。 ・「カケルの蹄音」:陸上競技で推薦入学したにもかかわらず故障で競技を断念した高一の志木翔瑠。その翔瑠の前に姿を現したのは、馬術部が新たに受け入れた元競走馬のズットカケル号。その戦績は、80戦して 7勝止まり・・・。 ・「星空の観測者」:同じ文学新人賞を同時受賞して作家デビューした星空イチタカと釘宮志津馬。片や売れない作家、片や直木賞ノミネート作家。しかし、イチタカの義母である嬉野幸子に語った、釘宮のイチタカに対する評価、思いは・・・。 星の盤側/妖精の引き際/エスペランサの子供たち/カケルの蹄音(つまおと)/星原の観測者 |
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