成田名璃子作品のページ


1975年青森県生、東京外国語大学仏語学科卒。2011年「やまびこのいる窓」にて第18回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>を受賞し、翌年改稿・改題した「月だけが、私のしていることを見おろしていた。」にて作家デビュー。12年コピーライターとして勤務していた会社を退社し、フリーのコピーライターとしても活動中。16年「ベンチウォーマーズ」にて第12回酒飲み書店員大賞を受賞。

 


                   

「月はまた昇る ★★


月はまた昇る

2020年09月
徳間書店

(1650円+税)



2021/02/02



amazon.co.jp

職場復帰しないとプロジェクトから外されてしまうのに保育園が見つからない・・・(北村彩芽)。
シングルマザーのため娘を保育園に預けるしかないのだが、娘が保育園で仕打ちを受けている・・・(
沢村敦子)。
子供がいても保育士として働き続けたかった・・(
江上梨乃)。

保育園絡みでそれぞれ葛藤を抱えていたママさん3人が、彩芽の「この指止まれ!」というネット投稿により出会い、
「保育園がないなら、つくっちゃえ!」という彩芽のひと声に巻き込まれ、振り回されつつも、自分たちが理想と思う保育園作りを目指して奮闘するストーリィ。

等身大で身近な問題である上に、3人がそれぞれに抱える悩みも共感できるものですから、理屈抜きに面白い。
ただ、素人であるうえに事業資金の当てもないまま突っ走り始めてしまうのは、幾らなんでも無謀。
しかし、それら難題を奮闘して乗り越えてしまうのですから、面白く、また痛快。

彼女たちの底辺にあるのは、実は理想を実現することよりも、それまで孤独、何もできないと自己否定的な気分になっていた状況が、一緒に夢に向かって突き進む友達、仲間を得て積極的な行動がとれるようになった喜び、にあるのではないかと思います。

何はともあれ、夢としか思えなかったことを実現させてしまう、サクセス・ストーリィは楽しく、痛快なものです。
それにしても、社会の上層にいる者たちはいい加減頭を切り替えるべき時代になっているのではないか。
つまり、子供を持ったって女性も働き続けるのは当然のこと、子供を持っても働きやすい社会づくりは当たり前と。
そしてそれは、単に子育て支援とか出生率向上とかに留まるものではなく、社会全体の活力を高めることに繋がることでしょう。

本作を読んで、そんな風に考えさせられた次第です。


1.運命の通知/2.保育園つくりませんか?/3.目覚め始める女神達/4.応募がない?/5.それぞれの保育園/エピローグ

        


   

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