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2.掏摸 |
●「世界の果て」● ★☆ |
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2009/06/05
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よく判らないストーリィが次々と繰り広げられる短篇集。 施設の前に捨てられた赤ん坊の頃から幽霊のような男の姿を度々見てきた、交通事故による妻の死以来動かなくなり、動き出したと思ったら今度はバベルの塔の如く鉄屑を積み上げ始めた、部屋に戻ると見知らぬ犬が死んでいたので捨て場所を探しに自転車で走り回る、等々。 本書「あとがき」で中村さん曰く、 ストーリィにどんな意味があるのか理解するのは難しく、暗い話は私の好みではないのですが、それでも途中で放り出したいと思わなかったのは、小説とは良いものだという点で通じ合うところがあったからではないかと思います。 月の下の子供/ゴミ屋敷/戦争日和/夜のざわめき/世界の果て |
●「掏
摸」● ★★ |
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2013年04月 |
天才的なスリ師を主人公にした不条理なストーリィ。 かつてコンビを組んだ仲間と別れ、今は一人働きをする主人公の元に、かつての仲間から連絡がある。しかし、その結果は、正体不明な男に命じられるまま、訳の判らぬ犯罪に加担させられたこと。 スリ、という今はもう懐かしいとしか思えない、古典的犯罪を表す言葉の響きに引かれて読んだのですが、カフカ「城」以来久々と感じるような不条理な物語。 |