長沢 樹
(いつき)作品のページ


1969年新潟県生。2011年「消失グラデーション」にて第31回横溝正史ミステリ大賞を受賞し作家デビュー。

  


       

「ダークナンバー ★☆


ダークナンバー

2017年03月
早川書房刊

(1800円+税)



2017/05/22



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西東京地域での連続放火事件、埼玉地域での連続ひったくり窃盗事件。
難事件の捜査に挑むのは、警視庁刑事部捜査支援分析センター分析捜査三係・係長の職にある
渡瀬敦子警部、29歳
犯行の傾向を分析し、犯人像を具体化していく、捜査の方向はいつの間にか渡瀬が握っているかのようにストーリィは進んでいきます。
もうひとり登場する女性は、大手TV局の東都放送で「鬼姫」の異名をとり、現在は閑職に左遷されている
土方玲衣。記者復帰を画策し、両事件について独自調査を繰り広げます。
実は、渡瀬と土方は中学の同級生。ただ、そこには複雑な因縁があるらしく、それが明らかにされるのは中盤になってから。

いずれにせよ、渡瀬敦子、土方玲衣という、それぞれ突出した個性と実力を備えた女性2人が事件解明に向けて奔走する、という警察&報道事件ものストーリィ。
上記2人だけでなく、本作ではどうも、型にはまった男性、型破りな女性(例外も一人いますが)という構図が目につきますが、その点にこそ本作の面白さがある、と感じます。

ただ残念だったのは、捜査が絞られていき捜査陣側ではそれなりに緊迫感が増していくのに対し、犯人側を含めたストーリィ全体としての盛り上がりに欠けている、と思われること。
それは何故かというと、犯人側に警察と対決しようとする姿勢がないから、と言ってよいでしょう。

なお、せっかく誕生させた渡瀬敦子、土方玲衣という中学時代の同級生コンビ、再び登場させないと何やら中途半端、という気がします。

序章/1.邪魔/2.転流/3.現場/4.邀撃/5.交点/6.懸念/7.誤導/8.潜行/9.絆/10.湖畔/終章.伽耶

  


  

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