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1967年愛知県生。「アッティラ!」にて第4回小説宝石新人賞を受賞し、作家デビュー。

  


     

●「アッティラ! Attila!」● ★★


アッティラ!画像

2011年11月
光文社刊

(1300円+税)

2015年01月
光文社文庫化

  

2012/01/14

  

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小説宝石新人賞を受賞した表題作+2篇。

何と言っても表題作が抜群に魅力!
町に突然現れるようになったキャンピングカーと多国籍と思われる人々。夜な夜なキャンピングカーの中で演奏を繰り広げ騒いでいる様子。
そんな彼らと出会ってすぐ惹き込まれたのは、会社員の主人公、キャバクラ嬢、人混み恐怖症のひきこもり青年、等々。
彼らの正体はというと、フン族の末裔、アッティラ大王を信奉する移動民族
“アッティルカイラー”とのこと。(※フン族、アッティラ大王とも西洋史上有名です)
「ヒラーキ!」という長老の宣言で飲み始め、音楽と愉快な歌で次第に盛り上がっていく、その様子が何とも楽しそうです。
「酒はうまい」「奏でよ、祝祭せよ」「恋は素敵」「子供は可愛い」という歌の内容がとても楽しい。
歌の文句を読んでいるだけで、こちらまで楽しい気分になってくるようです。中でも「酒はうまい」が絶品、次いで良いのは「恋は素敵」でしょう。
こうした気質を共有できるのなら、不景気等々と愚痴をこぼさずに済むのではないかと思うくらい。
上記歌の歌詞を読むだけで陽気な気分になれること間違いなし、という、特効薬のような作品です。

「ほもよろを」は、認知症の老女と知り合う営業マンのお話。単純に面白いと言えるかどうかは、微妙だなぁ〜。
「マルチャペル」はお仕事系。生真面目で頑張り屋の女性主人公と、その夫となる飄々とした営業マン。どちらも現代会社員のあるべき一典型と言えるかも。他の小説なら、主人公が会社で昇進してやがて離婚に至るという展開になりそうなところ、夫婦が大事というこの2人を評価したい。

アッティラ!/ほもよろを/マルチャペル

 


  

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