宮本紀子作品のページ


京都府生、兵庫県在住。市史編纂室勤務等を経て、2012年「雨宿り」にて第6回小説宝石新人賞を受賞し作家デビュー。

 


                   

「狐の飴売り−栄之助と大道芸人長屋の人々− ★☆


狐の飴売り

2017年03月
光文社刊

(1700円+税)



2017/04/15



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吉原に居続けたり、好き放題に女遊び。金の心配をしたこともなければ、甘えてさえすれば誰かがやってくれる筈と人に頼ってばかり。そんな札差「大内屋」の惣領息子である栄之助、突然に家を放り出される結果に。
といってもすべての原因は栄之助にあり。許婚の
喜代が弟の松次郎と何やら話をしていると思ったら、ややが出来たとの話。
粋がって店も喜代も松次郎に譲ってやると言って実家を出たところ、当てにしていた女たちは突然手の平を返し、謝って迎えに来るはずの実家からは梨の礫。
行くところに困ってとりあえずは乳母だった
お滝の家に転がりこむものの、あれよあれよという間に大道芸人たちが暮らす長屋に一人放り込まれ、お滝の息子である彦吉が作る飴を浅草の盛り場である奥山で売ることに。
ところが、飯を炊くことも、売り声を上げることもできない有り様。いったいどうなるのやら。

栄之助の能天気さ、何も出来なさには呆れ返るばかり。でも自分はというと、あまり栄之助を馬鹿にしていられないかも。
大道芸人たちの奇怪さといったら、ひょっとして妖怪では?と思う程ですので、栄之助が気味悪く感じるのは無理もなし。
それでも思わぬ同居人が栄之助の元に転がり込んで以来、長屋の大道芸人たちと栄之助の間に親しい仲間たちといった雰囲気が増していくところは楽しい限り。

顔の半分は侍・半分は爺さんという芝居男や、熊男兄弟、美女と思えば婆さんというお茶売り、猫面を外さない托鉢僧と様々な大道芸人が登場しますが、彼らの過去を振り返ればそう栄之助と変わるところはない。
頼りになる彦吉や不思議な隠居、愉快な大道芸人仲間に囲まれての、栄之助の遅かりし成長ストーリィ。
ただし、楽しさは同居人の登場があってからこそ。

それなりに楽しく、面白く読みました。


1.なんてこった/2.成れの果て/3.祈り/4.兄弟/5.狐の飴売り/6.後悔/7.その先へ

        


   

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