松尾依子
作品のページ


1984年神奈川県生、共立女子大学文芸学部卒。2008年「子守唄しか聞こえない」にて第51回群像新人文学賞を受賞し、作家デビュー。

 


   

●「子守唄しか聞こえない」●        群像新人文学賞




2008年08月
講談社刊

(1429円+税)

 

2008/09/19

 

amazon.co.jp

海と山に囲まれた町に暮らす女子高生を主人公に、その揺れ動く心情を描いた、ひと夏の物語。

高校生の美里(ミサ)がいつも付き合っているのは、男子生徒4人の仲間ばかり。その内の一人タイラとミサが付き合っている関係にあるからといって、やはり尋常には思えない。
そもそも何故そんな付き合いが生じたのか、どこにその理由があるのか。それが釈然としないまま美里の一方的な小理屈が繰り返されるため鬱陶しく、つい読み飛ばしてしまう。

そんな美里と男子高校生たちのと交流は、長い目で見ればほんの一時のこととしか思えないが故に、美里には不安定さがあり、だからこそ彼女が苛立つ原因にもなっていると感じられます。
そんな美里にまるで絡みつくかのように近づいてきた同級生の美沙子。突然目の前に立ち塞がった美沙子の存在は、あえて触れないでいた部分をつつくかのようで、美里の苛立ちを一層募らせるという緊迫感をストーリィに孕ませます。

そんな高校生という過渡的な時期に美里が抱え込むことになった鬱屈感を描いた作品。
でも主人公である美里にしろ、同級生の美沙子、4人の男子生徒との関係にしろ、どうも納得感を持てない。
釈然としないまま読み終わってしまった作品です。

        


   

to Top Page     to 国内作家 Index