松波太郎作品のページ


1982年三重県生。大東文化大学中退、北京外国語大学中退、宇都宮大学卒、一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。2008年「廃車」にて 第107回文学界新人賞を受賞。09年「よもぎ学園高等学校蹴球部」が 第141回芥川賞候補となる。

  


 

●「よもぎ学園高等学校蹴球部」● 




2009年08月
文芸春秋刊

(1429円+税)

 

2009/09/12

 

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芥川賞候補作だったということなのですが、よく判らないまま進み、あっという間に終わってしまう。
えっ、これでお終いなの? と思いましたよ、いくら何でも。

よもぎ学園、1学年50名程度の少人数教育を掲げた全寮制の私立高校。そのサッカー部はというと、お遊びでやっている程度かと思うぐらいだらだらとした練習が常。それでも県大会に出場するのですから、いやはや。
その貧弱サッカー部を率いる監督は萩将子、35歳の女性教諭。子供の頃からサッカー好きで試合に燃えようとしているのは彼女くらい。部員を鼓舞、激励するが、反応は薄い。
冒頭、部員全員が涙を流しているので何事かと思えば、まだ試合は始まる前なのです。
試合の様子は、相手チームと味方チームの選手がゼッケン番号付きで描かれますが、これがまた判りにくい。とても試合に興奮するというのからは程遠い。
途中、萩が学生時代に担当教授から酷評されたという、サッカーをテーマにした卒業論文が披露される。
さらに6年後萩が・・・・しての部員再会シーン、それからまた試合中に戻ってしまうという展開。
普通、次はこう展開するだろうというところを、すべて逆に行ったという印象。だから、何なのでしょう?

壊れかけ車検がもう直ぐという車をただで中国人留学生に譲ったところ、期限経過しても相手はちっとも廃車手続しないどころか、逆に訳の判らぬまま相手から怨まれるという、不条理な展開を描いた「廃車」の方は、まだ面白かった。
こちらは文学界新人賞受賞作とのこと。

よもぎ学園高等学校蹴球部/廃車

 


  

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