松久淳+田中渉作品のページ

 
松久淳:1968年東京都生、上智大学卒。月刊誌編集部勤務を経て、97年フリー。

 


 

●「天国の本屋」● ★☆




2000年12月
かまくら
春秋社刊

(1000円+税)

2004年5月
新潮文庫化

 
2002/11/17

薄く、ストーリィも短く、あっさりとしていますが、それでも気持ち良さの残る一冊。

就職活動で苦闘中の主人公・さとしが気付いたと思ったら、連れて来られた場所は“天国”にある本屋だという。
訳の判らぬまま、さとしはその天国にある本屋で、店長代理を務めることになります。
内容としては、〔癒し+ラブ〕ストーリイ。
しかし、本作品の魅力は、子供に請われてさとしが本を朗読すると、子供たちだけでなく大人たちもそれを楽しみ、本を介しての触れ合いが広まっていくところでしょう。
本を読んで聞かせるという行為が、大切な温もりとして、本書では重要な要素になっています。本好きとしてはそれが嬉しい。

※天国あるいは天使により人生をやり直すという趣向から、森絵都「カラフルを思い出します。やり直す場が天国か現世かという点で、本書とは対照的。

※“天国の本屋”シリーズ
 2.「うつしいろのゆめ」 02.03 木楽舎刊
 3.「恋火」       02.10 小学館刊

 


  

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