柾木政宗
(まさき・まさむね)作品のページ


1951年埼玉県生。ワセダミステリクラブ出身。2017年「NO推理、NO探偵?」にてメフィスト賞を受賞し、作家デビュー。


1.朝比奈うさぎの謎解き錬愛術

2.朝比奈うさぎは報・恋・想で推理する

  


       

1.

「朝比奈うさぎの謎解き錬愛術 ★☆
 Cool PI and his Cutie Pie Stalker's Case File


朝比奈うさぎの謎解き錬愛術

2018年12月
新潮文庫

(590円+税)



2019/01/02



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有名な探偵だった亡父の探偵事務所を継いだものの、イケメンではあるもののまるで探偵の才能が無い望月迅人(はやと)・25歳。その姉で警視庁捜査一課の敏腕刑事である望月弥生
そしてもう一人、ある事件で迅人と知り合ってから、何故か
「迅人さん、うさぎのこと好きなんですね」と勝手に思い込み、偏狂的なストーカー体質を発揮し始めた美少女=朝比奈うさぎ・女子大生19歳
その3人を主要登場人物とした、気軽に楽しめる連作ミステリ短篇集。

まず、うさぎの徹底的なストーカーぶりが楽しめます。
これが本当に凄い、可愛い、そして恐ろしいぐらい。
そのうえで、うさぎと迅人(うさぎの攻勢に辟易)、弥生(うさぎと意気投合、応援)という3人のやりとりが面白い。
その3人が一緒に出掛ける先で、その度に殺人事件に巻き込まれるというパターン。
探偵役は何と、探偵である迅人、刑事である弥生を凌ぎ、19歳のうさぎ。
事件を知ってもすぐにひらめきを見せることはないのですが、毎度容疑者にされてしまうという巻き込まれ&疑われ体質の迅人に関わる部分だけ、何故か観察力・洞察力・推理力を鋭く発揮し、犯人を特定してしまう、という次第。

まぁ、然程ドラマチックな事件・真相ということはなく、キャラクターの面白さで読ませる作品。
それでも最後に明らかにされる逆転劇には、あっと言わされました。
※付け狙われる側としてはともかく、ストーカー=朝比奈うさぎの懸命ぶり、献身ぶりがとても可愛らしい。


プロローグ/1.夜に訪れるもの/2.危険な遊園地/3.無駄に終わった密室/4.雪の中の温室で

        

2.

「朝比奈うさぎは報・恋・想で推理する 
 Cool PI and his Cutie Pie Stalker's Case File


朝比奈うさぎは報・恋・想で推理する

2019年12月
新潮文庫

(630円+税)


2020/01/01


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シリーズ第2弾。前巻もやはり昨年の正月に読みました。

趣向は前作どおり。
ただ、前作と同じ面々(
望月迅人、朝比奈うさぎ、望月弥生)だけでは単調になってしまうということだったのでしょうか、本巻ではうさぎに強力な恋のライバルが登場します。

それは、迅人のかつての同級生で、当時から男子生徒憧れの的、現在はキャバ嬢で、悩殺ボディの持ち主という
揚羽沢編菜(あげはざわ・あみな)

この揚羽沢編菜が、事件の起きる度に、ことごとく迅人の側にいるのです。そのためうさぎがライバル心を燃やしていつもいきりたつ、揚羽沢もそうと分かっていて挑発する、という具合です。

各篇、それなりのミステリに、うさぎによる強烈な勘違いを基にしたそれなりの推理。
2冊続けて読みましたが、私としてはもういいかな、という気もちです。

プロローグ/1.ライバルは夜の蝶/2.手がかりは幻のホームラン/3.あの夏の忘れ物/4.遠くの君へ捧ぐ/5.今すぐ伝えたい気持ちがあるならば

   


  

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