黒名ひろみ作品のページ


1968年香川県生。武庫川女子大学短期大学部卒。脚本家を目指し10年間シナリオの勉強を続けた後、地元の小説教室に通う。2015年「温泉妖精」にて第39回すばる文学賞を受賞。

 


           

「温泉妖精 ★☆        すばる文学賞


温泉妖精

2016年02月
集英社刊
(1200円+税)

 


2016/02/27

 


amazon.co.jp

マイナーで暗い性格の主人公に、これまた暗い旅館の若い女、風体怪しげでこれまた陰気な男性泊り客。
そのうえ、ブログで穴場というべき温泉旅館と思って出掛けたのに、ボロい旅館のうえに温泉などはなく水道水に入浴剤を入れただけの旅館。
作品そのものからして 130頁と短いストーリィなのに主人公の子供時代のトラウマから大人になってからのマイナーぶりを語るのにかなりを費やし、肝心の現ストーリィ部分が少ないではないかという印象を持たざるを得ず。

主人公は岡本絵里、23歳。毛が濃いことを突かれるのが怖くてトラウマ。カラーコンタクトを入れ、整形手術を繰り返し、外国人を装うことでやっと人と対等に向かい合えるという風。
旅館「花」の若い女は
アンナ。女将である祖母が骨折して入院、しかたなく旅館の仕事を引き受けている。
絵里以外の唯一の泊り客である
は、毒舌家で陰気、正体不明。
上記3人が本書の主な登場人物という次第。

ほのぼのとする様でありながら全く看板倒れの「温泉妖精」という本書題名。最後にその温泉妖精の正体が明らかにされますが、私ならずとも、その途端にズッコケてしまうのではないでしょうか。(笑)

とはいえ、何がどうであろうと、最後に主人公の絵里が開き直り、自分自身をさらけ出す勇気を持てるようになったのであれば、終わり良ければ全て良し、と言うべきでしょう。

                 


   

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