紺野キリフキ作品のページ


1980年北海道札幌市生、筑波大学第二学群比較文化学類卒。在学中は演劇活動を展開、主に戯曲を手がける。2003年「キリハラキリコ」にて第4回小学館文庫小説賞佳作を受賞。また、携帯サイト「The News」で同作を連載、1日平均6万件のアクセスを記録する好評を得る。

 
1.
キリハラキリコ

2.ツクツク図書館

 


   

1.

●「キリハラキリコ」● ★☆


キリハラキリコ画像

2006年09月
小学館刊

(1400円+税)

2010年12月
小学館文庫化

2006/10/14

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なんとも不可思議な少女小説。
中学2年らしいキリハラキリコが主人公です。本書は、彼女の1年間にわたって綴った日記という設定。
しかし登場してくるのは、教室の不思議なおばあさんだったり、特にこれといった能力もないロボットのロボ太郎暦屋のおじさん、???というばかりのミスター水村暦屋の娘さん、etc 。フツーの人は殆ど登場しません。

現実にあり得そうもないことばかりなのですが、現実にそんなことがあったらさぞ愉快だろうなァと思うことばかり。ファンタジーという感じではないけれど、なんとなく心温まるものがあります。
突飛過ぎる喩えかもしれませんが、ゲゲゲの鬼太郎を現代風にかつ洒落た感じにして、女の子に置き換えるとこんな作品になるかもしれません。このキリコ、ミスター水村への対し方を見ていると、結構したたかなところのあるキャラクターなのです。

ちょっと風変わりな少女小説。理屈に少しぐらい合わなくったって読んで楽しければそれでいいじゃない、という言葉がぴったりの一冊です。

   

2.

●「ツクツク図書館」● ★☆


ツクツク図書館画像

2008年02月
メディアファクトリー刊

(1200円+税)

 

2008/03/07

 

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筑津区にあるから「ツクツク図書館」。
このツクツク図書館は不思議な図書館。まず、つまらない本しか置いてない。だから訪れる人も殆どいない。
普通の図書館のような広いフロアーはなく、おかしなテーマ名がついた小部屋に分かれていて、そこに本が置かれている。
そのうえ、忙しい人は何故かこの図書館に辿り着けないらしい。

そんな図書館に勤めるのも奇妙な人間ばかり。気弱な館長に、運び屋、語学屋、戻し屋(ひどい遠視の幼稚園児)と呼ばれる職員たち。
そこに、本を読むだけという仕事さえ嫌がる、着ぶくれした女が雇われるところから、本ストーリィは幕を開けます。

よく判らないなぁ、やはり面白くないのかなぁと思いつつ読み進んでいくと、そのつまらなさがかえって可笑しくなってくる、というのが本書の妙味。
図書館員のほか、本が嫌いな着ぶくれした女の飼い猫が、夜毎読書に勤しんでいる、というのも可笑しい。

最後までいっても本ストーリィのことが判る訳でもない。また、着ぶくれ女の本体を途中チラリと見せられるものの、結局この女のことが明らかにされる訳でもない。
しかし、何もかも明らかにされないまま終わるからこそ、なんとなく面白いのかも。

    


   

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