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●「白い花と鳥たちの祈り」● ★★☆ 小説すばる新人賞 |
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2010/04/03
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父親と離婚した母親が再婚。その結果、引っ越して新しい街、新しい学校、そして新しい家族。 中学1年生の主人公=あさぎは、そのどれにもまだ馴染めず、いつも気を張り詰めている。 そんなあさぎが唯一気持ちを緩めることができるのは、近所にある郵便局で中村さんという職員の笑顔に触れることができる時だけ。 しかし、その中村さんもまた、暗く深い哀しみを抱えた青年だった。 中学生のあさぎと、郵便職員の中村、共に自分の居場所を見出せないでいる2人の心の揺れを、繊細に描き出していく長篇小説。 題名からは綺麗で可愛らしいイメージを受けますが、2人にとってはかなり過酷な現実が描かれていきます。
両親の離婚、母親の再婚と妊娠、それまで他人であった見知らぬ男性を家族として受け入れること。
時間、周囲の人間たちだけが問題ではなく、そこには自分自身の肯定、そして見方を変えていくという自助努力も欠かせないことだった。 |