加藤シゲアキ
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1987年生、大阪府出身、青山学院大学法学部卒。NEWSのメンバーとして活躍しながら、2012年「ピンクとグレー」にて作家デビュー。21年「オルタネート」にて第42回吉川英治文学新人賞を受賞。

  


       

「オルタネート ★★☆      吉川英治文学新人賞


オルタネート

2020年11月
新潮社

(1650円+税)



2021/01/09



amazon.co.jp

当初見送っていたのですが、直木賞候補作になったということで思い返し読んだ次第です。これは読んで良かった。

まず、素晴らしい、の一言。高校生たちが等身大に、その心情がリアルかつありのままに描かれていて。
表題の
「オルタネート」とは、高校生限定SNSアプリ。お互いにメッセージのやりとりをする以外に、相性の良い高校生との仲介を行う機能を有しています。
こうした舞台設定が、まず清新かつ現代的。

そこからつい上記SNSあってのストーリィかと思い込んでしまいがちですが、基本はあくまで、普遍的な青春群像劇。
本作には数多くの人物が登場しますが、ストーリィは3人の高校生と中退生を軸に展開します。

1人目は、
新見蓉(いるる)。円明学園高校3年生で調理部部長。高校生ペアによる全国料理コンテスト「ワンポーション」でのリベンジを目標にしています。オルタネートには未加入。
2人目は、
伴凪津(なづ)。同高校の1年生でオルタネートを信奉し、相性の良い相手との出会いを期待している。
3人目は、
楤丘(たらおか)尚志。大阪の高校を中退、かつてのバンド仲間と再びバンドを組みたいと単身上京してきます。中退してしまったためにオルタネートを利用できず。

何故SNSに依存するのか。そこには、自分への不安と心許なさがあるからのように感じられます。
だからオルタネートに頼るのか、逆に頼ることを拒否するのか。
しかし、相性が高いと判定されても、結局は生身の相手と向かい合うしかありませんし、予想外の事態に見舞われたら逃げずに踏ん張るしかない。
また、オルタネートにアクセスできないからといって、あらゆる世界から見放された訳でもない。
結局は本作、人と人との繋がりを、繋がることの難しさ、繋がるためには最低限の勇気が必要である、と語り掛けるストーリィなのです。

エピローグ部分、そして読後感は極めて清新にして爽快。
お薦めです。


※蓉等々による調理場面、これが楽しい。まさに読み得です。

1.種子/2.代理/3.再会/4.別離/5.摂理/6.相反/7.局面/8.起源/9.衝動/10.予感/11.執着/12.門出/13.約束/14.確執/15.結集/16.軋轢/17.共生/18.焦燥/19.対抗/20.同調/21.不信/22.祝祭/23.胸中/24.出発

   


  

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