本格ミステリーにおける“ベテラン新人発掘プロジェクト”、島田荘司氏選による受賞作だそうです。「圧倒的パワーを見せる新人」という選者の言葉に興味を引かれて読んでみました。
添野弁護士が法律相談を受けた相手は、臼井あさぎという女性。
20歳の時に偶々ミニスカートを穿いて出社する途中、スカートの中を盗撮されてしまったのだという。しかし、当時盗撮を取り締まる条例がなかったことから犯人は交番で取り押さえられたものの罪にはならず。それから15年後の今、何とかその犯人を懲らしめたいと彼女は言いますが、法的にはどうにもならない。
その臼井が通勤電車の中で痴漢に遭い、何と犯人が逆に大怪我するという事件が起きます。行き掛かりから添野が弁護を引き受けたものの後日、さらに驚くべき事件が起きてしまう・・・。
盗撮という犯罪、今でも無くなった訳ではないと思いますが、一時期世間を騒がした頃からだいぶ経っており、題材としてはもう古いという気がします。
本作品についてはそれ以上に、ストーリィ展開、人物像、警察による捜査・法廷場面等々、あらゆる点において粗いという印象を拭えません。
最終的には、ドンデン返しの真相にさらにドンデン返しが加わるという2重の仕掛けが設けられているのですが、途中のストーリィ運びが粗いために予想外の結末という面白さを味わうことができませんでした。かなり残念。
ミステリーの価値は仕掛けにあるという読者ならもう少し評価できるのかもしれませんが、小説としての面白さという面では期待外れ。「ショートスカート・ガール」という表題自体、事件そのものと直接関係する訳ではありませんし。
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