|
|
2.魔法飛行 3.掌の中の小鳥 5.ガラスの麒麟 6.月曜日の水玉模様 8.螺旋階段のアリス 9.ささらさや 10.虹の家のアリス |
コッペリア、レインレイン・ボウ、スペース、てるてるあした、ななつのこものがたり、モノレールねこ、ぐるぐる猿と歌う鳥、少年少女飛行倶楽部、七人の敵がいる、無菌病棟より愛をこめて |
はるひののはる、トオリヌケキンシ、我ら荒野の七重奏、カーテンコール!、いつかの岸辺に跳ねていく、二百十番館にようこそ、空をこえて七星のかなた |
●「ななつのこ」● ★★ 第3回鮎川哲也賞受賞 |
|
1999年08月
|
初めて読んだ時には、ちょっと良否を判断しにくい作品、と思いました。
作中小説「ななつのこ」の物語中に展開される謎解きと、主人公が現実に出会う謎解きを、各篇毎に並列するという構成。 スイカジュースの涙/モヤイの鼠/一枚の写真/バス・ストップで/一万二千年後のヴェガ/白いタンポポ/ななつのこ |
|
(再読) 作中小説「ななつのこ」の中でのはやて少年と年上の女性・あやめ、主人公・入江駒子と「ななつのこ」の作者・佐伯綾乃、各章にて類似する2つの日常ミステリが展開する連作短編もの。 こうした構造の所為か、知らずに読むと判り難いという印象は拭えません。しかし、再読となればその辺りの特徴が判っているので、落ち着いて本書の良さを楽しむことができます。 本作品の一番の特徴は、細部に行き渡る優しさにある、と言って良いでしょう。謎解き役であるあやめ、綾乃にしろ、優しさがあるからこそ表面的な謎に惑わされず真相を見通すことができる、そう感じます。 本書における駒子の印象は、「スペース」の駒子とかなり異なります。それは親しい仲間内の駒子と第三者からみた駒子の違い、と整理しておくこととしましょう。 |
●「魔法飛行」● ★★ |
|
2000年02月
|
「ななつのこ」の続編。 各篇の最後には、不可解な手紙が付け加えられています。 秋、りん・りん・りん/クロス・ロード/魔法飛行/ハロー、エンデバー |
|
(再読) 駒子が瀬尾宛てに手紙を書く、という形式で物語られる4篇のストーリィ。 「ななつのこ」の続編で日常ミステリに連なる作品ですが、駒子のキャンパスライフ(短大)という印象が強いのは、最初に読んだ時と同じ。 その4篇の中でずっと忘れられずにいたのが「魔法飛行」。不思議を信じて欲しい男性と、非現実的なことを信じさせて欲しい女性とのファンタスティックなラブ・ストーリィは、秀逸。これからも決して忘れることはないでしょう。 初めて読んだ時と異なり、今回は全体を俯瞰して読むことができました。そこから感じられたのは、各篇において人の微妙な心の奥行きが描かれ、本書はそれらを通じて駒子の成長物語になっている、という点です。 最後の「ハロー、エンデバー」という駒子の呼びかけは、彼女もまた大人の女性に成長を遂げつつある、ということを示すものに他なりません。 本書は、加納さんの魅力の原点を窺うことのできる作品です。 |
●「掌の中の小鳥」● ★★☆ |
|
2001年02月
|
加納さん3作目の作品なのですが、うまいなあ、たまらないなあ、という絶品の味わいです。
掌の中の小鳥/桜月夜/自転車泥棒/できない相談/エッグ・スタンド |
●「いちばん初めにあった海」● ★★☆ |
|
2000年05月 2019年04月 1999/02/18 |
ワンルームのアパートで一人暮しの千波。 本作品は、他の加納作品とちょっと趣が異なり、夢の中をさ迷うかのような雰囲気でストーリィが進みます。 現在より、過去を探る旅。 いちばん初めにあった海 / 化石の樹 |
●「ガラスの麒麟」● ★★★ 第48回日本推理作家協会賞受賞 |
|
2000年06月
|
帯の紹介文を借りると、本書は「少女たちの不安定な心をこまやかに描く待望の連作ミステリー」。 ガラスの麒麟/三月の兎/ダックスフントの憂鬱/鏡の国のペンギン/暗闇の鴉/お終いのネメゲトサウルス |
●「月曜日の水玉模様」● ★☆ |
|
2001年10月
|
ユーモア・ミステリ連作7篇。 月曜日の水玉模様/火曜日の頭痛発熱/水曜日の探偵志願/木曜日の迷子案内/金曜日の目撃証人/土曜日の嫁菜寿司/日曜日の雨天決行 ※曜日を抜かして各篇の頭の字をつなげてみてください |
●「沙羅は和子の名を呼ぶ」● ★ |
|
2002年09月
|
幻想的なものとファンタジスティックなものが交じり合ったような雰囲気を
醸し出している短篇集。 黒いベールの貴婦人/エンジェル・ムーン/フリージング・サマー/天使の都/海を見に行く日 /橘の宿/花盗人/商店街の夜/オレンジの半分/沙羅は和子の名を呼ぶ |
●「螺旋階段のアリス」● ★ |
|
2003年11月 2000/11/23 |
早期退職制度を利用して探偵事務所を始めた脱サラ探偵・仁木順平と、飛び込みの探偵助手・市村安梨沙を主人公とした、連作短篇ミステリ。 念願をかなえて探偵業を開始したもののまったくの素人探偵という仁木に対して、美少女でとても人妻と見えない安梨沙が探偵業に不思議なひらめきをみせる、という不似合いな2人は、微笑ましいコンビ。また、各篇ストーリィのいずれにも、「不思議の国のアリス」を連想させる部分があり、その2点に妙がある、と言える作品です(勿論、安梨沙は“アリス”のひっかけ)。 細やかな味わいが楽しいという点で加納朋子ファンには嬉しい一冊ですが、初めて読む人にとっては、ちょっと不自然、ミステリの点でも物足りない、と思われる作品かもしれません。 螺旋階段のアリス/裏窓のアリス/中庭のアリス/地下室のアリス /最上階のアリス/子供部屋のアリス/アリスのいない部屋 |
●「ささらさや」● ★★☆ |
|
2004年04月
|
まったく良い本を書いてくれるなぁ、というのが感想の第一。加納朋子さんについてそう感じるのは久し振りのことです。それもまた嬉しい。 トランジット・パッセンジャー/羅針盤のない船/笹の宿/空っぽの箱/ダイヤモンドキッズ/待っている女/ささら さや/トライライト・メッセンジャー |
●「虹の家のアリス」● ★ |
|
2005年12月 amazon.co.jp |
脱サラ探偵・仁木順平と、切れ者助手・市村安梨沙を主人公とした連作短篇ミステリ。「螺旋階段のアリス」に続く第2弾です。 前作に比較して変わったのは、次の2点。 なお、本書の魅力は巻末の「加納朋子論」と「インタビュー」。加納ファンとしては読み逃せないところです。 虹の家のアリス/牢の家のアリス/猫の家のアリス/幻の家のアリス/鏡の家のアリス/夢の家のアリス ※つながることへの信頼−加納朋子論/加納朋子スペシャル・インタビュー/加納朋子著作リスト |
加納朋子作品のページ bQ へ 加納朋子作品のページ bR へ