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「ただいまの声が聞きたくて」 ★★ | |
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主人公の大和田慶子が10歳の時、母親は妹の江利子だけ連れて男の元へ出奔。 折り合いの悪かった姑と似ているからという理由で慶子を嫌い、一方で江利子は父親との子ではなく、出奔した相手との間の子だったらしい。また、父親はそれを承知で自分の戸籍に入れていたとは、後で知ったこと。 その後は父親との二人暮らし。でも、父親は不在がち。 慶子が社会人になった時、突然に江利子が訪ねて来ます。それ以来度々母親の目を盗んで訪ねて来るようになった江利子に、慶子は料理の手ほどきをします。 しかし、母親にバレ、また都内の短大へ進学した江利子との縁は遠ざかりますが、その後江利子が消息を絶ったと知ります。 料理が好きだった慶子は経験を重ね、父親に家をリフォームしてもらってレストランを開き、江利子に帰る場所があると示す意味で店名に妹の名前を付けるのですが・・・。 慶子を中心とした、家族の物語、と言って良いでしょう。 父娘の関係、母娘の関係、妹との関係、義母との関係・・・。また、慶子の家族だけでなく、近所に住む大家の斉藤さん一家の話等々も加わります。 いろいろなドラマを盛り込んだ故に、かえって起伏が無く、ひたすらドラマを語り続ける平坦なストーリィになってしまった観があります。そのため、慶子自身の人生は何だったのか、という点で今ひとつ物足りなさがあります。 ただし、様々に色濃い家族ドラマの数々は、それなりに読み応えあり。 1.待ちわびて/2.再会のとき/3.店を開いて/4.新しい母と/5.待っている/6.ただいま! |