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| 「朱天の都」 ★★ 日本ファンタジーノベル大賞2026 | |
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“酒呑童子”伝説を題材にした、日本ファンタジーノベル大賞受賞作。 酒呑童子伝説で思い出すのは、今村翔吾「童の神」。 同作における“鬼”とは朝廷の支配下に属さない民たちのことでしたが、本作では二本の角を生やした本来の“鬼”であり、人と鬼が共生している平安社会。 とはいえ、当時は貧しき者たちが飢えに苦しんでいる状況。それにもかかわらず帝や右大臣たちは民を救う手立ては何もとらず、悪いことはすべて鬼の所為にしている、という状況。 そして帝、ついに源頼光とその配下である藤原保昌らに鬼退治を命じる、という次第。 それに対し、大江山に住まう鬼たちの首領が美麗な朱天童子、その片腕であるのが陽気な茨木童子という次第。 その朱天童子が右大臣の異母妹である内侍に魅了されてしまったところから、朱天童子らが人間たちに近付くことになり、やがて壮絶な戦いへと展開していきます。 朱天や茨木ら、気が好くて優しく、そして楽しい奴ら。権謀術策に明け暮れ、自分の欲ばかり追求しようとしている高位の人間たちに比べると、余っ程好ましい存在です。 いったい<鬼>とは何なのか。是非はどこにあるのか。 両者の戦いだけでも十分以上に読み応えがありますが、思わぬ存在まで登場し、ヤラレタ!という痛快感あり。 伝説の面白さに、戦いの興奮、そして予想外の驚き、そして登場するキャラクターの魅力(皆を引っかき回している感ある内侍や老・安倍晴明を含む)と、多様な面白さが味わえる本作ですが、“鬼”とは何か?という問い掛けがまた心憎い。 熾烈な争いが描かれるストーリーですが、何処かおどけたコミカルさのある処が、本作の最大の魅力でしょう。 加賀谷きよいさんの今後に期待大です。 序幕/ 第一部:1.王都爛熟/2.麗景殿の尚侍/3.鴨川地獄絵図/4.大江山合戦/ 第二部:1.鬼ノ国縁起/2.鬼姫繚乱/3.百鬼夜行/4.天を朱に染め/ 終幕 |