入院した親友の宮田夕紀の代わりにと、野球部のマネージャーを買って出た川島みなみ。
さて、マネージャーとは何をするものなのか。
「マネージャー」→「マネジメント」と考えたみなみ、書店で勧められたのがドラッカー著『マネジメント』という組織経営について書かれた本。みなみはその本にすっかり魅了されてしまう。
都立の進学校である程久保高校、当然のことながらその野球部はきわめて弱い。
しかし、マネージャーとして「野球部を甲子園に連れて行く」という目標を立てたみなみ、そのためには『マネジメント』が教えるところを野球部にも適用すれば良いと、さっそく実践にかかります。
組織経営の哲学を、高校野球部に持ち込んで実践してみた、という着想がお見事。
本書の面白さは、一見かけ離れた世界と思える“経営”と“高校野球部”を結びつけた点、野球部を実践例として描いた点に尽きます。
もちろん、高校野球部であるからには、青春スポーツ感動部分も付け加えられています。
ただしその部分、私としては室積光「都立水商!」の感激を思い出させられるものでした。
こうした小説も在り得る+ドラッカー『マネジメント』のエッセンスを知ることができる、という点からお薦めしたい一冊。
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