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         伊藤比呂美さんという詩人のことは殆ど知りませんでした。 
        本書はたまたま書店の平台に積んでるところを、ちょっと興味を感じて手に取ってみた作品。 
        中身をパラパラと読んでみて、なんとまぁ、と驚きました。 
        エロティックであり、またグロテスクであって、なおかつユーモラス。一風変わった面白さを味わわせてくれる一冊です。 
         幾つかの章の終りには、「ネズバース族の話から」「ポンカ族の話から」「ウィネベーゴ族の話から」などと注釈がつけられていますが、果たしてどこまで本当に伝承話なのか。 
        疑いをもちつつ、如何にもといった中身ではあります。 
         伝え聞かされるコヨーテは、食い意地が張っていて、そのうえ年がら年中相手構わずやりたがっているという、どうしようもない存在。 
        そんなコヨーテが、カモ娘にまんまとつがったり、膣の中に歯を仕込まれた娘の罠から逃れたり、カエル女たちを殺して大事なところを切り取り自分の用に足したりという、とんでもない話の数々。 
        でもそんなエロスに満ちたグロテスクな話の中に、何ともいいようのない可笑しさがあって、面白いのです。 
        この語りの楽しさ、実際に本書を読んでみないことには判りません。興味をもたれたら、書店店頭で是非ページを繰ってみてください。     
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