石岡琉衣
(るい)作品のページ


1974年富山県生、名古屋大学法学部卒。テレビ局で報道記者、ディレクターとして勤務。その後漫画家に転身したが病のため文筆業に転向。2011年「白馬に乗られた王子様」にて第12回ボイルドエッグズ新人賞を受賞し作家デビュー。

 


           

「白き隣人」● ★★


白き隣人画像

2012年10月
新潮社刊
(1600円+税)

  

2012/11/19

  

amazon.co.jp

20代後半のフリーライター=杉宮遼子。週刊誌に連載記事を持ち順調な道を歩み始めたところですが、ふとしたことで自儘なベテラン記者の怒りを買ってしまい、仕事を失いかねない窮地に追い込まれます。
そんな遼子の元に届いた宅配便の中身は何と・・・(絶句)。
そしてもう一人の主人公は、色白の美青年=
鈴野兼好。先輩が好意からセットしてくれた合コンだというのに、何故か相手女性と親しくなるのを拒む様子。その理由は・・・?

上記2人を交互に描きながら展開される、現代社会ホラー。
何となく惹かれて手に取ったものの、本来ホラーは苦手です。
いつ何時自分もそんな状況に置かれてしまうか分からない、現代社会ホラーはそう感じてしまうからこそ、怖い。
怖いのは苦手なのでさっさと読み終えてしまいたいと、つい読み急いでしまいます。本ストーリィはそれだけ怖い、ということ。
次々に遼子に振り向けられる、底知れない悪意。
“怖い”とは、不気味で、その先の予想がまるでつかないこと、そう思います。

遼子と鈴野の軌跡が交わった時、ストーリィは第2段階へと進みます。
悪意の原因が分かってしまえば、何だ、で終わってしまうことかもしれませんが、本ストーリィで一番怖いことは果たして何だったのか。
ある意味、本作品は未完結と言えます。本ストーリィが終ったその先にあるもの、それを思うと、さらに怖い・・・。

                 


   

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