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「どろにやいと」 ★★ | |
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亡き父親の跡を継いで、父親が作った「天祐子霊草麻王」と名付けたお灸の行商人を始めた主人公、まずは父親の贔屓客を訪ね歩くところから商売を始めます。 ところが訪れた山村で、数少ないバス便に乗りそこなったことからその山村に閉じ込められることになるのですが、この山村のある住人の奇妙な行動に巻き込まれ、大変な目に・・・。 お灸の行商人というのもまた古風な主人公像ですが、問題の山村、現代でありながら過去の時代に戻ったような風情あり。 そんな現代と過去が入り混じったような雰囲気の中、またまた珍妙な出来事が続く・・・。 理屈など無用、なんとなく可笑しく、面白く、そのうえちょっと不思議で、なんとはなしに楽しい。 こうした作品に時たま出会えるのも、良いですよ。 ※題名の「泥(どろ)に灸(やいと)」とは、無駄なことや効果のないことの喩えだそうです。 「天秤皿のヘビ」は、常夏の島に住む孤児、10歳の少年=イサを主人公にした短篇。 イサの唯一と言っていい大切な仲間はヘビのウンパだったのですが、やがて別れが・・・・。 ユニークながら寂しさも潜む読後感が忘れ難い。 どろにやいと/天秤皿のヘビ |