蛭田亜紗子作品のページ


1979年北海道札幌市生、在住。第7回「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞。2010年「自縄自縛の私」にて作家デビュー。


1.エンディングドレス

2.共謀小説家

 


                   

1.
「エンディングドレス ★★


エンディングドレス

2018年06月
ポプラ社刊

(1500円+税)

2020年06月
ポプラ文庫



2018/07/07



amazon.co.jp

真嶋麻緒、32歳
死ぬにあたっての段取りを、順序立てて着々と進行中。

そんな麻緒、必要なロープを購入しようと赴いた手芸店でふと眼に留めたのが、
「終末の洋裁教室・・・さあ、死に支度をはじめましょう。あなただけの死に装束を、手作りで。」というポスター。
その文言に引かれた麻緒は、その洋裁教室に入学します。
ところが、さっさと身辺整理を終わらせ決行するつもりだったのに、死に装束にとりかかる前に幾つかの課題をこなさなければいけないなんて。
洋裁教室でお仲間となったのは、3人の老女たち。

課題をこなす内、3人の老女たちの話を聞く内、夫の弦一郎と同じ大学で出会った時から始まり、2人で過ごした日々を思い出す内に、いつしか麻緒の心に変化が生まれていきます。
その辺りは定番といって良い展開だと思いますが、忘れ難い思い出をひとつひとつ、丁寧に積み重ねていく優しさに、麻緒と共に心を癒されていく気持ちがします。

ようやく前に進もうという気持ちになった麻緒に、どうか幸いあれ。


1.終末の洋裁教室/2.はたちのときにいちばん気に入っていた服はなんですか?/3.十五歳のころに憧れていた服を思い出してみましょう/4.思い出の服をリメイクしましょう/5.自分以外のだれかのために服をつくってください/6.自己紹介代わりの一着を縫いましょう/最終章.つぎの季節のための服をつくってください

                 

2.
「共謀小説家 ★★


共謀小説家

2021年03月
双葉社

(1650円+税)



2021/05/24



amazon.co.jp

明治の世、互いに小説家を志望して人気小説家の弟子となり、故あって夫婦となった男女の、小説家の<業>とも言うべき姿を描いた長編。

小説家を志す
宮島冬子は、17歳にして豊橋から上京し、弟子となれない故に女中となって人気小説家=尾形柳後雄(ゆうごお)の家に住み込みます。
しかし、柳後雄から小説執筆のため身を供してくれと抑えつけられ、挙げ句の果てに妊娠してしまう。そんな追い詰められたところを柳後雄の弟子の一人である
九鬼春明の、自分と結婚し、自分の子として産めばいいという申し出を受け入れ、妻・母の身となります。
とはいえ身近に小説家がいる状況下、小説を書きたいという欲求は捨てがたく、春明の代作という形で小説家の世界に足を踏み入れます。

「共謀」とは、春明が冬子に結婚を申し入れた時に使った言葉。世間体には夫婦ですが、実態はそれから遥かに遠く、創作における共謀者と言うべきなのか、それともライバルと言う方が相応しいのか。
いずれにせよ、小説家の<業>を深く感じさせられるストーリィであり、それに尽きる作品。
小説の黎明期を描いている部分には興味深い処が多々ありますが、決して面白い作品ではありません。
なお、男性より最後は女性の方が強い、と思わせられるのは現代小説故でしょうか。

※本作の登場人物は、「金色夜叉」の
尾崎紅葉、その門下である小栗風葉とその妻=加藤壽子(かずこ)をモデルとしたフィクションだそうです。 尾崎紅葉、流石に未読です。

1.春泥/2.夏雷/3.秋波/終章.冬羽

      


   

to Top Page     to 国内作家 Index