|
|
「そういう生き物」 ★★ すばる文学賞 |
|
|
10年ぶりに出会った高校時代の同級生、千景とまゆ子。 千景の方から誘い、2人は千景の部屋で一緒に暮らし始めます。 千景は薬剤師で調剤薬局勤め。一方のまゆ子は叔母が営むスナック勤め、というのが現在の2人の状況。 千景は外でおざなりな男とのセックスを繰り返し、それと対照的にまゆ子は千景のために部屋で料理を作っているという風。 2人の間には同級生らしい親しさが感じられる一方で、同時にどこか距離もあるように感じられます。 その理由は、ストーリィを読み進んでいけば明らかになります。 今や“家族”というのは、男女とその子供という生物本来の姿から変化しつつあるのでしょう。 要は、一緒にいたいと思う相手といること、それがお互いにとっての幸せなら、それで十分なのではないかと思っています。 千景とまゆ子の過去に何があろうと、今の2人にはお互いに寄り添おうとする気配が感じられます。 それ故に、読了後の余韻の中には軽やかな快さがあります。 |