花村萬月作品のページ


1955年東京都生。89年「ゴッド・ブレイス物語」にて小説すばる新人賞、「ゲルマニウムの夜」にて 第119回芥川賞を受賞。著書は「ぢん・ぢん・ぢん」「皆月」等。

 


 

●「♂♀ オスメス」● ★☆

 


2001年6
新潮社刊
(1600円+税)

2004年6月
新潮文庫化

 
2001/08/14

冒頭から最後まで、ひたすら性交ばかりが続く小説。
とはいっても、煽情的な雰囲気は殆どありません。その行為ばかりが延々と続くものですから、いつしか自然な気分で楽しく読んでいる、というのが不思議といえば不思議。本書は、そんな味わいのある小説です。
男と女の関わりというより、男性性器と女性性器の関わりといった方が良いようなストーリィ。本書題名を「オスメス」と読ませるのはあくまで便宜上のこと、本来の題名は記号のまま「♂♀」である、というのが花村さんの弁ですが、まさにその通り!と言うべきでしょう。

主人公は、という名前の中年作家で“亀頭原理主義者”。殆ど花村さん自身のことではないか、と感じます。この主人公が、亀頭のおもむくまま、若い恋人・沙奈、覗き部屋で知り合った奈々美和、CD店でひっかけた処女の律子と、思う存分性器と性器を貪り合い、奉仕し、女たちの身体を露わにしていきます。
本作品を良しとするかどうかは読者の好み次第ですが、なかなか楽しめる小説です。

 


  

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