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「毒をもって僕らは」 ★☆ |
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ポプラ小説新人賞特別賞を受賞した作品ということで、読んでみた次第。 入学したばかりの高校で酷いイジメに遭っている木島道歩は、訪れた病院で長期入院しているという同世代の少女=綿野詩織と出会う。 その綿野は木島に、不幸のどん底って顔をしているね、と言い、そのうえで「この世界の、薄汚い、不幸せなことを私に教えてくれないか。もっと、もっと、もっと」と頼んでくる。 その綿野は、既に余命宣告を受けている身だった。 余命少ない少女との出会い、青春記といって思い出すのは、住野よるの小説&映画「君の膵臓をたべたい」と、映画「君は月夜に光り輝く」。 という訳で、どうしても比較せざるを得ません。 本作には上記2人の他、木島と同じ高校の同学年生2人が登場します。 一人は木島の幼馴染である矢野和佳奈と、その矢野が綿野の友人候補として紹介してきた斎藤一真。 木島と比べると二人はまともな、健全な高校生のように見えましたが、実はそれぞれ深い問題を抱えていることが後で明らかにされます。 ただ、事情があろうと矢野和佳奈の綿野に対する行動は酷い。 う〜ん、共感できない処が幾つかあり。ひとつは、木島が自身に対するイジメについて自虐的になっている部分でしょうか。 結末として、それぞれに先への希望が見えれば納得できるのですが、それがないままに終わってしまったという感あり。 |