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1.百年の時効 2.誰何 |
| 「百年の時効 When the Era Breaks Its Silence」 ★★☆ 大藪春彦賞・吉川英治文学新人賞 |
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吉川英治文学新人賞受賞したと知って読んだ次第。 読み始めてすぐ、水上勉「飢餓海峡」、松本清張「砂の器」のような奥深さを感じたのですが、事件ならびに捜査における年月の長さ、関わった人物の多さおよび複雑さ、驚愕の結末に圧倒される思いでした。 まるで戦後史を読んだような気がします。 2024年、葛飾警察署の刑事=藤森菜摘が独居老人の死を検分したところからストーリーは始まります。 かつて天才的相場師と知られたその老人が遺したのは、警察宛ての手紙と赤さびのついた日本刀。 それから話は、1974年(昭和49年)に起きて未解決となっている<佃島一家四人殺傷事件>へと跳びます。 警視庁のベテラン刑事=鎌田、彼と捜査のコンビを組んだ月島署の新人刑事=湯浅らが懸命に捜査したものの事件は解明できず、1995年(平成 7年)に起きた新たな事件を機に、捜査は鎌田と草加刑事へと引き継がれます。しかし、今度もまた佃島事件は解明できないまま。 そしてついに事件から50年、今は警視庁捜査一課の管理官となっている草加からの依頼で、湯浅、鎌田が遺した捜査ノートと共に佃島事件の捜査は藤森菜摘に託されます。 いやー、長い。事件の真相には、過去へ遡る長い物語がありましたし、各時期に捜査にあたった刑事たちの執念も圧巻。 捜査の過程でさらに新たな事件が発生あるいは判明するといった具合で、事件の複雑さは並大抵のものではありません。 全く先が読めない展開は、驚き、興奮、読み応えたっぷり。 最後の真相にはもう、驚愕するしかありませんでした。 ミステリ、サスペンス好きな方に、今さらではありますが、是非お薦め。 1.令和編−2024 令和6年/2.昭和編−1974 昭和49年/3.平成編−1989 平成元年/4.令和編−2024 昭和99年 |
| 「誰 何(すいか)」 ★☆ | |
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主人公は、かつて北海道警察捜査一課刑事としてならしたが、今は児童相談所の臨時職員(児童虐待対応支援員)の仕事をしている新内由紀(しんないよしのり)、45歳。 警察から離れたものの、道警が絡んだ二つの別々の事件で、共に関係者の元から新内の<名刺>が発見されたことから、新内は事件に巻き込まれます。 一つは、独居死した老女=松川美和の親族に警察が連絡を取った処、電話を受けた甥が、美和は2年前に死去したと答えたもの。2年前に死んだ人物はいったい誰なのか? もう一つは、札幌郊外で轢き逃げと思われる死体が発見された事件。轢き逃げ犯の捜索がすぐ開始されます。 前者の事件で、松川美和の経歴と偽美和の接点を調べるため警視庁からやってきた捜査一課刑事=宝生尊の言によって、新内はその捜査を手伝うこととなります。 一方、後者の事件では、かつて新内とコンビを組んでいた若い刑事=砂本修二が捜査員となっていて、新内にいろいろ助言を求めてきます。 さて、二つの事件の顛末は・・・。 上記事件の他にも、複数の筋(謎、問題事案)が語られますが、それらに<名刺>という道具を以て共通人物を絡ませ、さらに並行かつ同時進行させることによってストーリーは複雑化させられています。 しかし、惑わされずそれぞれの事件を注視すれば、割と単純な事件に過ぎません。 さらに、松川という家の問題、新内の臨時職員としての仕事等を基に、母子や家族問題もストーリー要素として加えていますが、それらを深く掘り下げていくまでには至りません。 多数の筋が絡むことで一見複雑なミステリように見えますが、そう見えるだけのこと。 様々な筋をひとつの作品に盛り込みすぎ、結果的にストーリー要素への突っ込みが分散気味で、今ひとつという印象。期待していただけに、ちょっと残念です。 |