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「誓いの簪」 ★☆ | |
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新聞書評に取り上げられていたので、読んでみた次第。 主人公は江戸、深川佐賀町の裏長屋に一人で住むおりん、14歳。一年前、ある事情から江戸に逃げてきて、この長屋に住み着くこととなった。生活の糧は<提げ重>、つまりは甘味売りという体裁ながら実態は春をひさぐ仕事。 しかし、孤独な身とはいえない状況。というのは、長屋で隣に住むお園と祖父の善次郎が、やはり隣人である浪人者の佐伯蔵之介と共に誘ってくれ、毎日一緒に食事をとっている、まるで疑似家族のような状況があるから。 実はおりん、伊賀・土井家の抜け忍で、仇として狙われる身。今は江戸の片隅に潜むようにして暮らしているが、いずれ相手が現れるものと覚悟している。 そんなある日、おりんの目の前でお園が襲撃されます。とっさに忍者の技を駆使し、おりんはお園を守る。 しかし、自分ならいざ知らず、出戻りで今は飾り職人として修業中のお園が、何故狙われるのか? そこからは、時代ミステリ風の展開となるのですが、その過程で思わぬ事情がお園にはあり、それはおりん自身の問題とも絡んでいることが分かります。 今のおりんにとって一番大事なものは何か? それを守ろうとおりんはあえて危険な道を選び取る・・・。 おりん、お園、佐伯ら登場人物のキャラクターが興味深く、面白く読み進めたのですが、少々不自然というか、無理筋と感じてしまう印象を否めず。 それにしても、最後の結末には・・・・唖然。 まぁ、確かにそれもありとは思うのだけど・・・なぁ。他に決着のつけようはなかったのか。 |