天羽 恵(あまう・めぐみ)作品のページ


1958年生、兵庫県出身。2022年「日盛りの蝉」にて第6回大藪春彦新人賞を受賞、23年「もゆる椿」にて作家デビュー。同作が第13回日本歴史時代作家協会賞新人賞の候補となる。

 


                    

「誓いの簪 ★☆




2025年06月
徳間書店

(1800円+税)



2025/08/05



amazon.co.jp

新聞書評に取り上げられていたので、読んでみた次第。

主人公は江戸、深川佐賀町の裏長屋に一人で住む
おりん、14歳。一年前、ある事情から江戸に逃げてきて、この長屋に住み着くこととなった。生活の糧は<提げ重>、つまりは甘味売りという体裁ながら実態は春をひさぐ仕事。
しかし、孤独な身とはいえない状況。というのは、長屋で隣に住む
お園と祖父の善次郎が、やはり隣人である浪人者の佐伯蔵之介と共に誘ってくれ、毎日一緒に食事をとっている、まるで疑似家族のような状況があるから。

実はおりん、
伊賀・土井家の抜け忍で、仇として狙われる身。今は江戸の片隅に潜むようにして暮らしているが、いずれ相手が現れるものと覚悟している。
そんなある日、おりんの目の前でお園が襲撃されます。とっさに忍者の技を駆使し、おりんはお園を守る。
しかし、自分ならいざ知らず、出戻りで今は飾り職人として修業中のお園が、何故狙われるのか?

そこからは、時代ミステリ風の展開となるのですが、その過程で思わぬ事情がお園にはあり、それはおりん自身の問題とも絡んでいることが分かります。
今のおりんにとって一番大事なものは何か? それを守ろうとおりんはあえて危険な道を選び取る・・・。

おりん、お園、佐伯ら登場人物のキャラクターが興味深く、面白く読み進めたのですが、少々不自然というか、無理筋と感じてしまう印象を否めず。

それにしても、最後の結末には・・・・唖然。
まぁ、確かにそれもありとは思うのだけど・・・なぁ。他に決着のつけようはなかったのか。

       


   

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