赤坂真理作品のページ


1964年東京都生、慶應義塾大学法学部政治学科卒。編集長を務めていた雑誌「SALE2」に書いた小説が文芸編集者の目にとまり、95年「起爆者」にて作家デビュー。2000年「ミューズ」にて第22回野間文芸新人賞、12年「東京プリズン」にて第66回毎日出版文化賞・第16回司馬遼太郎賞・第23回紫式部文学賞を受賞。

 


                   

「箱の中の天皇 ★★




2019年02月
河出書房新社

(1400円+税)



2020/01/12



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太平洋戦争敗戦により、日本における天皇の地位は、立憲君主からの<象徴>に。
本作
「箱の中の天皇」はその意義を問う、退位を国民に希望した平成天皇まで登場させる、大胆なストーリィ。

老母を世話して横浜のホテルニューグランドに泊った
マリは、不思議な場面を目にします。
それは、占領軍司令官
マッカーサーが何者かと電話している姿。その相手とは昭和天皇・・・そしてマッカーサーは、昭和天皇の魂を箱の中にしまい込んだ。
その翌日マリは、皇祖を守ってきた霊統に属する人間だと名乗る不思議な老女から2つの箱を託されます。一つには天皇の霊が半分入っていて、もう一つは空。空の箱をマッカーサーの持つ箱と摺り替えるようにというのがその指示。
1946年当時に戻ったマリは、マッカーサーと会い・・・・。

象徴天皇とは、戦後日本を米国の傀儡国家にしようと、天皇をその道具として利用するために拵えた存在に過ぎないのか。
本作が投げかけた問題はそうしたことと思います。
しかし、日本における天皇は、古代から連綿と続き、定着している存在。
あくまで本ストーリィはフィクション。ただ、フィクションかノンフィクションかにかかわらず、天皇という存在、国民との関係は、他国の身勝手な政治戦略だけでその姿を変えるようなものではないと思います。

「大津波のあと」は、東日本大震災の後を問うストーリィ。

箱の中の天皇/大津波のあと

        


   

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