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11.invert |
【作家歴】、午前零時のサンドリヨン、ロートケブシェンこっちにおいて、マツリカ・マジョルカ、雨の降る日は学校に行かない、小説の神様、マツリカ・マトリョシカ、小説の神様−あなたを読む物語−、mediumメディウム、小説の神様−わたしたちの物語−、教室に並んだ背表紙 |
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「invert−城塚翡翠倒叙集−」 ★☆ |
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“霊媒探偵”=城塚翡翠を主人公とした「mediumメディウム」の続編。今回は倒叙推理という趣向、3篇です。 倒叙もの推理小説と言えばF・W・クロフツ、TVドラマで言えば「刑事コロンボ」「古畑任三郎」でしょうか。 犯人は最初から分かっていますので、興味は犯人対探偵のかけひきという構図になりますが、本作も変わるところはありません。 「雲上野晴れ間」の犯人は、システムエンジニア。 「泡沫の審判」の犯人は、小学校の女性教諭。 「信用ならない目撃者」の犯人は、元捜査一課の腕利き刑事。 各篇の犯人は証拠を残さず完全犯罪をし遂げたと確信していますが、探偵たる城塚翡翠、「雲上」では隣人となった初心な女性、「泡沫」では臨時スクールカウンセラーとして、本性を隠して犯人の懐に入り込みます。 最初から犯人が分かっているため、倒叙ものはかけひきの面白さはあっても、アッというドンデン返しの面白さは中々味わえないのですが、その興奮を味わわせてくれたのが最後の「信用ならない目撃者」。 何しろ腕利きも元刑事、そして現在は探偵事務所の所長という人物。物的証拠が何もなく、唯一の切り札は目撃者なのですが、それすら・・・・という強敵。果たしてどう逆転するのか。 “霊媒”PRが薄かったところが残念なところ。 まぁ、本作では「霊媒」とは語られず、精々オーラを感じ取るというPR止まりでしたが。 その辺りがちょっと物足りず、惜しまれます。 雲上の晴れ間/泡沫の審判/信用ならない目撃者 |