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「天使と石ころ」 ★☆ | |
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リベリアの村で暮らす7歳のカラマは、ある日ゲリラに村を襲撃され、母親を目の前で殺され、自身もゲリラの少女兵士に拉致される。 その少女兵士アイーシャは、これからは自分たちがあんたの家族だといい、カラマにカラシニコフ(自動小銃)を押し付けます。 その日から、カラマは否応なく少年少女兵士たちの一員に加えられ、それが当然であるかのように、今度はカラマたちが他の村を襲い、平然と住民を殺し少年少女たちを拉致していく。 しかし、子どもたちは皆、首領である<大佐>の所有物。 やがてカラマは、その歌声に価値ありと見做され、ダイヤと引き換えに白人女性へ売り渡されます。 そして学校に通うようになりますが、カラマたちが大人の所有物であることに何ら変わりない。だからといってカラマたちがそこで受けたことは・・・・。 我が物顔で振る舞う大人と、犠牲になる子どもたちとの対比がくっきりと描き出されます。 「天使と石ころ」という題名が象徴的。 天使の歌声を持ち貴重な存在であり、取引価値としてダイヤに値するものであろうとも、物として扱われるのはダイヤと変わりない。いっそ、大人から見向きもされない石ころであった方が、どれだけ幸せか。 今現在も、ガザ地区へ非道な攻撃を続けるイスラエル等々、紛争地域における子どもたちは、大人たちの紛争の犠牲でしかありません。 子どもたちの悲運を描いた作品ですが、辛く、暗いばかり。 でも読了後、そこから何か一筋でも光明が見いだせたらと、祈るような気持ちが残ります。 |