P・G・ウッドハウス作品のページ No.2



11.P・G・ウッドハウスの笑うゴルファー

12.春どきのフレッド伯父さん


【作家歴】、ジーヴズの事件簿、エムズワース卿の受難録、マリナー氏の冒険譚、ユークリッジの商売道、比類なきジーヴス、よしきたジーヴス、それゆけジーヴス、ウースター家の掟、でかしたジーヴス

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11.

P・G・ウッドハウスの 笑うゴルファー ★☆
 
原題:"WODEHOUSE ON GOLF"        訳:岩永正勝・坂梨健史郎


ウッドハウスの笑うゴルファー画像

2009年04月
集英社インターナショナル

(1400円+税)



2009/06/09



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ユーモア小説数多いウッドハウス作品の中から、ゴルフを題材にした作品を集めた短篇集。

スポーツという題材にユーモアの要素が加われば、それだけでも楽しいようなものですが、そのうえP・G・ウッドハウスの手によるユーモア・ゴルフ小説だというのですから、面白さは半ば保証されているようなもの。
とくに本短篇集に収録されている短篇は、若い男女の恋愛騒動ばかり。
男女の片方あるいは両方が、ゴルフと聞けば目の色が変わるというくらいのゴルフ愛好者であるが故に、恋愛のゴタゴタはいつもゴルフ場に持ち込まれ、最後の勝負もゴルフ絡みによって決せられるという具合。

各篇、基本的にゴルフ倶楽部の最長老メンバーが語る話、という形で繰り広げられますが、唯一「恐怖のティーグランド」だけ釣遊亭マリナー氏が語る話となっています。
どれも同じように面白いユーモア作品ですが、収録6篇中、私は冒頭の「ゴルフは非情」が一番面白かった。
臆病者の青年が、ゴルフ場に立つや様相を一一変、若い美人がその命令口調に腹を立てて・・・・というストーリィ。
次いで「恐怖のティーグランド」は、ゴルフの勝負に勝ったら結婚してあげると約束してもらえた男性2人が、お互いに負けを競うとして・・・というストーリィ。抱腹絶倒の面白さです。

理屈ぬき、気軽に楽しめる屋外型ユーモア小説選です。

ゴルフは非情/恐怖のティーグランド/ルールは厳正/道化師よさらば/ゴルフさえあれば/意外な弱点

  

12.

「春どきのフレッド伯父さん−ウッドハウス名作選−」 ★☆
 
原題:"Uncle Fred in the Springtime"        訳:森村たまき


春どきのフレッド伯父さん

1939年発表

2021年09月
国書刊行会

(2400円+税)



2021/11/02



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「ウッドハウスの全小説中、否、世界文学史上、もっともイカれていて、ハチャメチャで、ナイスなキャラの持ち主といわれたフレッド伯父さんが、あのブランディングズ城で大暴れ」との出版社紹介文に引かれて久しぶりに読んだウッドハウス作品なのですが、あまり楽しめなかったなァ。

ストーリィが冗長すぎる、という所為もあるのですが、検査入院後にして手術入院前という落ち着かない状況下ということもあって私に心の余裕がない、という所為が大きかったのかもしれません。

本作、
“フレッド伯父さんもの”1冊目にして、“ブランディングス城もの”5冊目とのこと。

主役であるフレッド伯父さんとは、
第5代イッケナム伯爵フレデリック・アルタモント・コーンウォーリス・トウィッスルトンのことであり、同氏はハンプシャーのイッケナム・ホール住まい。
このイッケナム伯爵という人物、頭の回転が早く、それ故に虚言を以て言いくるめて相手を翻弄し、自分の思うとおりの結末に持っていこうとするのが恒例パターン。
とはいいつつ、全てが思いどおりにいく訳でもなく、その都度軌道修正、つまりはさらに虚言を駆使して、といった具合。
その辺りの展開が愉快、面白さということなのでしょうけれど、どうもなぁ・・・。

なお、本作には、あの
第9代エムズワース伯爵も登場します。
総じて貴族の息子たちにはアホが多く、対照的に女性たちはやたら厳格でユーモアを理解せず、という傾向あり。


※英国ウッドハウス協会の“一番好きな短編”投票でトップを獲得したという「ゆけゆけ、フレッド伯父さん」を末尾に収録。

1.春と修羅/2.女帝ブタの危機/3.イッケナム再訪/4.賭博師/5.廃墟と荒廃/6.二人の伯爵/7.それゆけ、ブランディングズ城/8.パディントン発マーケット・ブランディングズ行急行列車/9.マーケット・ブランディングズ駅の邂逅/10.精神の異常は遺伝するか/11.秘密の暴露/12.遺書と秘書と卵/13.肉体派詩人到着/14.名探偵登場/15.破滅/16.白スミレ/17.お金は大切/18.死闘/19.死屍累々/20.甘美と光明

     

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