ヘンリー・S・ヴィラード&ジェイムズ・ネイグル作品のページ


AHenry.S.Villard ヘミングウェイ同様に第一次大戦のイタリア戦線に参戦し、黄疸で病院に入院したところヘミングウェイと隣室になり交友を結んだ人物。ヴィラードは看護師アグネス・フォン・クロウスキーと長く交友を持ち、彼女の92歳での死後、日記を譲り受けたという。
James Nagel ジョージア大学教授、ヘミングウェイ研究者。ヴィラードから協力を求められ共同執筆者。

 


     

「ラブ・アンド・ウォー−第一次大戦のヘミングウェイ−★☆  訳:高見浩
 原題:"Hemingway in Love and War"

 
ラブ・アンド・ウォー画像
 
1997年09月
新潮文庫刊
(現在絶版)

   

1997/11/29

  

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応募してイタリア戦線に傷病兵輸送隊員として参戦、両脚を負傷して入院したヘミングウェイと、その赤十字病院で看護婦だったアグネス・フォン・クロウスキーとの恋の状況について明らかにした書。当時ヘミングウェイは19歳、相手のアグネスは7歳年上の26歳だった。
映画公開に合わせて本書も翻訳刊行されました。

この書は、ヘミングウェイの若い頃の恋の様子を明らかにしてくれる本ですが、それ以上にアグネスという若い女性の生き方を感じさせてくれる本でもあります。
22歳から看護学校に入り、ダディと呼ぶ男性と恋愛関係に陥り、人生体験を広げようと赤十字に応募してヨーロッパに渡る。彼女の恋愛遍歴は多彩ですが、決して多情だったということではありません。そんなアグネスからは、積極的な意思をもって人生を精一杯生きようとした若い女性の姿を感じます。

そうした内容からすると、本書が“ラブ・アンド・ウォー”という恋愛映画の原作になるとは想像し難い。映画のストーリィになるような部分はどこからも見い出せないのですから。それなのに恋愛映画になるとすればかなりフィクション部分が織り込まれる筈。それがヘミングウェイにおける事実として信じ込まれることには危惧を覚えます。
訳者の高見浩氏も同様の危惧を表していて、数々の虚構が盛り込まれているにもかかわらず“実録”を名乗るこの映画によって、また新たな“伝説”が広がることを懸念する、とのことでした。

なお、念のため
カーロス・ベーカー「アーネスト・ヘミングウェイ」のこの辺りを拾い読みしてみました。アグネスとのことは殆ど事実のままに書かれていて、ヘミングウェイ若きし頃の、成熟した大人になる為の一つの出来事、という扱いでした。
 
はじめに/イタリアにおける赤十字ドライヴァー/アグネス・フォン・クロウスキーの日記/ヘミングウェイ宛のアグネスの手紙/ヘミングウェイとイタリアの遺産

    


      

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