2006年発表
2006年06月
新潮社刊
(2300円+税)
2008年09月
新潮文庫化
2006/07/29
amazon.co.jp
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オックスフォードの図書館から始まるファンタジーな冒険物語、というのが宣伝文句ですが、どこが面白いのかまるで判らなかった、というのが率直な感想。
1452年のドイツ・マインツと現代のオックスフォードを結ぶストーリィ。1452年では世界最初の印刷機を作り上げたグーテンベルクが居り、現代オックスフォードには研究者である母親に連れられてオックスフォードにやってきた主人公のブレークと妹のダックがいる。
ブレークがオックスフォードの図書館でたまたま見つけた古い白紙の本。その本「エンデュミオン・スプリング」は、15世紀にドラゴンの皮から作られた羊皮紙を束ねて作られた本で、選ばれた人間しかそこに記された文字を読むことはでできない。しかも、伝説の「最後の書」に導く書であると伝えられていた書だった。
ブレークはダックと共にその本に導かれるようにしてオックスフォードの古い図書館の奥深く入り込むことになりますが、「最後の書」を手に入れ権力を得ようとする暗い影がつきまとう。というストーリィ。
とにかく内容が判りにくい。そのうえブレークは妹のダックに言い負かされるのが常で主人公としての魅力を欠き、読んでいて楽しいという気分にまるでなりません。
さらに、謎と不可思議と、最後にとっつけたようなブレークの危機はあるものの、要は何が問題で、万が一の場合にはどんな厄介事が生じるところだったのか、事件を無事解決して何が得られたのか、が全くつかめないのです。
古い図書館の中に迷い込んだように、混迷するストーリィの中をただ読みきったのみ。そんな読後感です。
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