ロビン・シスマン作品のページ


Robyn Sisman 米国ロサンゼルス生、合衆国とヨーロッパ各地を転々としながら育つ。エチオピアで教職に就いた後、ロンドンの出版社で編集者として活躍。現在はイングランド南西部のサマセット州に在住し、執筆活動に専念。

 


 

●「豚が飛んだら」● ★★
 原題:"Just Friends"     訳:山田昌美

  

 
2000年発表

2001年5月
ソニー・マガジンズ刊
(1600円+税)

2004年1月
ヴィレッジ・
ブックス化

  

2002/08/23

題名は、「そんなことがあったら豚だって空を飛ぶ」という、作中のセリフから。まずそんなことはありっこない、という意味です。
主人公は、ニューヨークに住む独身女性フレイア、35歳。
20歳の頃にイギリスからアメリカへ来て自活し、美人で聡明な女性なのに、何故か恋愛運には恵まれない。本ストーリィも、同棲中の恋人からいよいよプロポーズかと期待したら別れ話だったという、挫折からスタートします。その挙げ句、住む処を失って転がり込んだのは、10年来の友人ジャックのアパート。
そのジャックは32歳、1冊ヒット作を出しただけの作家で、若い娘とのセックスがすべてという独身男性。

前半の展開は、どちらかというと冗長。都会に住む独身女性の日常話という点ではブリジット・ジョーンズの日記と相通ずるものがあります。違いは、一人称と三人称、本書の主人公が実質フレイアとジャックの二人である、という点でしょうか。
後半、義妹の結婚式に出席する為、フレイアと、恋人役を演じることになったジャックの2人がイギリスに里帰りする辺りから、一気に面白さが溢れてきます。
後半を一言でいうなら、まるで映画を観ているかのような小説。そして最後の展開には、メグ・ライアン主演の映画めぐり逢えたらを連想させられます。
作者のシスマンは英国で「第二のノーラ・エフロン」”めぐり逢えたら”等の脚本家兼映画監督)と形容されているそうです。となれば、私が上記の如く感じたのも何の不思議もありません。
男と女の間に友情は成り立つのか、或いは長き得るものなのか、を本作品のテーマと見なすことができるかもしれませんが、私としては、一人で何とか幸せを手に入れようとしているフレイアの、真摯で懸命な姿勢に打たれます。
前半で放り出すことなく最後まで読んで欲しい、そうすれば面白さ満喫できること間違いなし!、とお薦めしたい一冊。

     


 

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