ジャンニ・ロダーリ作品のページ


Gianni Rodari  1920〜80年 イタリアの児童文学者、ジャーナリスト、教育者。小学校教員を経て左派新聞に児童文学を書き、好評を博す。70年国際アンデルセン賞を受賞。

 
1.
青矢号

2.パパの電話を待ちながら

 


      

1.

●「青矢号−おもちゃの夜行列車−」● ★★☆
 
原題:"LA FRECCIA AZZURRA"         訳:関口英子

  

 
1954年発表

2010年05月
岩波少年文庫

(680円+税)

 

2010/06/13

 

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イタリアでは、子供たちにプレゼントを配って回るのはサンタクロースではなく、ベファーナという古い箒に乗った魔女なのだそうです。それもクリスマスではなく、三博士がイエスを訪れた1月6日を祝うエピファニーという祭りの前夜とか。

本書に登場するベファーナ、親たちからお金をもらって子供たちにプレゼントを届ける、という設定。
したがって貧しい家の子供たちはプレゼントを貰うことができません。
本書に登場するフランチェスコも、そんな貧しい家の少年のひとり。
そのフランチェスコに同情したおもちゃたち、フランチェスコの元へ行こうと、ぬいぐるみの犬コインを先頭にベファーナの店を抜け出します。
ところがその夜は大雪、おもちゃたちの冒険は困難を伴います。
本書は、コイン、青い電気機関車“青矢号”の乗員をはじめとするそんなおもちゃたちの冒険ストーリィ。

ベファーナの手によってただ配られるのではなく、おもちゃたちが自分たちの意思で相手を選び、子供たちに喜んで欲しいという願いと、貧しいながらもプレゼントの訪れを待ち望む子供たちの心が共鳴し合う様子が、とても素晴らしい。
プレゼント、おもちゃの冒険物語という枠を超えて、もっと大事なもの、相手を思う気持ちの大切さを本書は伝えてくれるようです。
大人にも子供にも、是非味わってもらいたい名作です。

   

2.

●「パパの電話を待ちながら」● ★★
 
原題:"CFavole al Telefono"     訳:内田洋子

  

 
1993年発表

2009年04月
講談社刊

(1400円+税)

2009/08/09

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むかしあるところ−ヴァレーゼに住んでいるビアンキさん。セールスマンのため、7日間のうち6日間は出張という生活。
幼い娘にせがまれて、毎晩9時になると電話で、お話をひとつ聞かせることに。
そんな想定による、ショートショート童話集、56篇。

ショートショートというと私にとってはまず星新一さんですが、星作品がSFを基調としていたのに対し、本ショートショートは幼い娘さん向けですから、童話・おとぎ話の類からファンタジー的なものまでと多彩。
大人が本気になって読んでしまうと、あれれ?と思う篇も多いのですが、そこはそれ、小さなお子様むけですから。
それでも、小さなお子様向けと言っても数々のお話の多彩さ、只者ではありません。

ふと気づくと、戦争忌避のお話があったり、不幸がなくなる未来を夢見たり、人々が誠実な人へ寄せる想いの強さを語るお話があったりと、子供たちにかける期待も感じられる、児童向け童話版ショート・ショート集。
是非お子さんと一緒に楽しんでみてください。

      


         

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