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Lesa Cline-Ransome  米国の児童文学作家。画家である夫と一緒に絵本を多く手掛ける。「希望の図書館」いてスコット・オデール賞を受賞。
2018年刊行の「希望の図書館」は初めての小説で、2019年度コレッタ・スコット・キング賞(アフリカ系アメリカ人作家によって書かれた、優れた児童・ヤングアダルト向けの作品に贈られる賞)の作家部門で次点を受賞。また、スコット・オデール賞(アメリカの優れた児童・ヤングアダルト向けの歴史小説に贈られる賞)を受賞。

 


               

「希望の図書館」 ★★☆             スコット・オデール賞
 原題:"Finding Langston"   
 訳:松浦直美


希望の図書館

2018年発表

2019年11月
ポプラ社
(1500円+税)



2019/12/28



amazon.co.jp

母親が死去すると、父親はラングストンを連れ、故郷アラバマ州を出てシカゴへ出てきた。
しかし、シカゴでの住宅環境は劣悪、学校では「南部のいなかもん」と馬鹿にされ、毎晩疲れ切って帰って来る父親とは気持ちがすれ違う。
このシカゴで居場所を持たないラングストンは、アラバマの大地が、そして母親の優しさが恋しい。

そんなラングストン、ある日の帰宅途中、図書館に出会います。
そこは黒人居住区にある
<シカゴ公共博物館 ジョージ・クリーブランド・ホール分館>
手を大きく広げて迎え入れるようなこの分館に入り込んだラングストンは、自分と同名の
詩人ラングストン・ヒューズと、その詩にすぐ惹き込まれます。
それから、少しづつラングストンの日々が変わっていく・・・。

自分の居場所がない、というのは誰にとっても辛いことですが、とくに子供にとっては大きなことだと思います。
でも、見つけた居場所が図書館なら・・・どんなに広い世界が待ち受けていることでしょう。

展開はやや定番という気がしますが、詩の世界、気持ちを表す言葉を知ったことによって、僅かではありますが彼の気持ちが少しずつ強くなっていくように感じられます。
そして最後、母親が今も自分を見守ってくれていて、そのおかげでこの図書館に辿り着いたとラングストンが確信する姿が素晴らしい。
図書館という存在の貴重さを、改めて感じる次第です。


1.さよなら、アラバマ/2.南部のいなかもん/3.父さんとの生活/4.立派な建物/5.放課後/6.本を借りる/7.同じ名前の詩人/8.土曜日/9.マグノリアの花/10.はれた唇/11.アップルパイの味/12.はなればなれ/13.箱の中の手紙/14.フルトンさんの話/15.新しい本との出会い/16.ぼくだけの秘密/17.話しあい/18.秋のシカゴ/19.はじめての友だち/20.すばらしい日

   


   

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