イアン・マクドナルド作品のページ


Ian McDonald 1960年英国マンチェスター生、5歳の時北アイルランドに移住。88年発表「火星夜想曲」にてローカス賞第一長篇部門、91年発表「黎明の王白昼の女王」にてフィリップ・K・ディック賞、2009年発表「サイバラバード・デイズ」にてディック賞特別賞、10年発表「旋舞の千年都市」にて英国SF協会賞・キャンベル記念賞、18年発表「時ありて」にて英国SF協会賞を受賞。

 


                                   

「時ありて」 ★★           英国SF協会賞
 
原題:"TIME WAS"     訳:下楠昌哉




2018年発表

2022年11月
早川書房

(2000円+税)


2022/12/14


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古書ディーラーのエメット・リーは、閉店する書店の本在庫の中から一冊の詩集「時ありて」を手に入れます。
1937年の刊行、著者名には「
E・L」とあるだけで、出版社名の記載もなし。
そしてその本の中には、一枚の手紙が挟まれていた。
「親愛なるベン」に向けて書き出されたその手紙の差出人には、「時ありて、また時ありぬ トム」と。その二人の男性はお互いに愛し合っていたらしい。

ベンとトム、その二人はどういった人物だったのか。
それを調べ始めたエメットの前に、不可思議な事実が現れます。それは、様々な年代に撮られた写真の中に、まるで歳を取ることのない2人が写っていること。
いったい、この2人は何者なのか・・・・。

本作は、時間を題材にしたSFストーリィ。
エメットが調べるうちに色々な事実が浮かび上がってくる。
謎が解明されていくという処も興味深いのですが、時間の流れを超えて
トム・チャベルベン・セリグマンが愛し合い、互いを求め続けたという中に、そこはかとない詩情を感じます。

読み終えた後、時というものに対する余韻が深く残ります。

     


         

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