デイヴィッド・ハドル作品のページ


Dacid Huddle  米国ヴァージニア州生まれ。大学で創作を学び、南部の短篇作家ピーター・テイラーに師事。長年短篇作家として活躍し、99年初の長篇小説「百万年のすれちがい」を刊行。

 


   

●「百万年のすれちがい」●  
 原題:"THE STORY OF A MILLION YEARS"      訳:岡田葉子




1999年発表

2002年1月
早川書房刊
(2000円+税)

 

2002/03/10

題名から、ファンタジー要素のあるラブ・ストーリィという印象を受けたのですが、それは私の勘違い。
愛し合う恋人、夫婦、友人同士でも、心の中を見てみれば、相手について勘違いしていたり、気持ちにすれ違いがあるもの。そしてそれは、百万年、つまり過去・未来を通じて永遠に続く課題のようなもの、というストーリィです。

第1章の「"未来"から見れば」は、元々短篇小説として書かれ、96年の“ベスト・アメリカン・ショート・ストーリーズ”に収録された作品だそうです。本作品はそれを拡大し、連作短篇風に書かれた長篇小説。その所為か、第1章はキラッと光っているものの、それ以外の章は割と平坦かな、という印象。

主要人物は、マーシーアレン、ジミーユタという、友人関係から2組の夫婦となった4人。
各章は、4人が交互に主人公となり、第一人称にて他の相手に対する気持ちを語っていきます。
新しい出来事が繰り広げられるというのではなく、過去を振り返り、エピソードを織り交ぜながら、自分の本心を吐露していくという展開。必然的に、お互いの思い違いが明らかになっていきます。ちょっとほろ苦いユーモアが、本書の面白味でしょう。
第1章は、その始まりとなるストーリィ。マーシー15歳の時の、41歳の男性ロバートとの冒険が語られます。すべてはそこから。

 


   

to Top Page     to 海外作家 Index