エリザベス・ギルバート作品のページ


Elizabeth Gilbert
 米国コネチカット州生。ニューヨーク大学卒業後、ジャーナリストとして活動する傍ら短篇小説を雑誌「エスクァイア」等に発表し、パリス・レビュー新人賞、ブッシュカート賞をダブル受賞。

 


 

●「巡礼者たち」● ★★☆   パリス・レビュー新人賞、ブッシュカート賞
 
原題:"PILGRIMS"      訳:岩本正恵

  

 
1997年発表

1999年02月
新潮社刊
(2000円+税)

2005年02月
新潮文庫化

  

2004/09/29

 

amazon.co.jp

広大なアメリカという国で、様々な場所、様々に生きる人たちの人生のヒトコマを切り出した、と言うべき短篇集。

とくに感動がある訳でも、類稀なストーリィがある訳でもなく、いずれも平凡な人生のヒトコマに過ぎません。しかし、そこには長い人生に繋がる内の“一瞬”という手応えがしっかり感じられます。
短いストーリィの内で、主人公たちは読み手の心の中にしっかり存在感を焼き付けている、その点が素晴らしい。本短篇集ならではの魅力です。
作者のギルバートは、アルバイトで金を貯めてはアメリカ各地を旅行して回ったとのこと。そんな様々な経験を重ねたからこそ、たとえ冴えなくても自分たちの人生、という手応えあるこれらの物語を書くことができたのでしょう。 
本書収録の12篇中では、表題作「巡礼者たち」に登場する女性カウボーイ、マーサ・ノックスの孤高さが印象的。なお、原題には「新たな土地を目指す人」という意味があるそうです。
「トール・フォークス」では、主人公エレンが抱え込んだ哀感が心に沁みます。
一方、友人の姉と恋人関係になる「デニー・ブラウン(十五歳)の知らなかったこと」の思いがけない展開は、すこぶる楽しい。何とも言い難い温かみと可笑しさが広がります。また、同じ路線上にある「最高の妻」は、ただただお見事!

巡礼者たち/エルクの言葉/東へ向かうアリス/撃たれた鳥/トール・フォークス/着地/あのばかな子たちを捕まえろ/デニー・ブラウン(十五歳)の知らなかったこと/花の名前と女の子の名前/ブロンクス中央青果市場にて/華麗なる奇術師/最高の妻

     



新潮クレスト・ブックス

  

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